オハイオ州アッシュビルの高校3年生、ジーナ・ウォレン。
銃撃事件により命を落とし卒業できなかった全米各地の生徒たちのため、彼女は動いた。卒業式に着用する帽子に、思いやりのこもった一工夫を加えることにしたのだ。
1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件から、今年5月7日に起きたコロラドのチャーター・スクールでの銃撃事件まで、何十人にもわたる犠牲者をリストにした。
そのリストへのリンクをQRコードに変換して、卒業式用の帽子に貼り付けた。
卒業式当日に彼女と一緒に写真を撮ると、「卒業できなかった生徒たち」のリストが送られる仕組みだ。
昨年、フロリダ州パークランドの生徒たちが、卒業式用の帽子を銃規制の象徴であるオレンジ色に塗り、銃規制に反対し強い政治力を持つ圧力団体の全米ライフル協会に、静かに抗議した。
帽子には値札もつけられたが、これは全米ライフル協会から多額の寄付金を受けとっていた疑いのある共和党上院議員のマルコ・ルビオに対する抗議だ。ひとりひとりの生徒の命に値段がつけられているように見せた。
この出来事に影響を受けた、とウォレンはBuzzFeed Newsに語った。
「言葉にするのと同じくらい、何かパワフルなことをしたかった。でも、全米ライフル協会に直接言うより、目にした人みんなに直接、届くようなものがいいと思ったんです」
Everytownという銃規制を訴える非営利団体のサイトを見て、銃撃の犠牲者のリストを作成した。その時に、あまりの数の多さに驚いたという。
「胸が痛みました」と彼女は語る。「リストに載っているのは学校で起きた銃撃事件の犠牲者だけです。映画館や教会での銃撃事件の犠牲者は含まれていません」
帽子についてウォレンがツイートすると、投稿は瞬く間に拡散した。
「主張を押し付けすぎでは」という意見も寄せられたが、彼女は「犠牲者たちを敬うため」の行動だと反論した。
「たくさんの名前が載っていることが問題だと気づいてほしい」と彼女は語る。
ウォレンはリストの最後で、「生徒たちを守るため」に投票するよう呼びかけている。
「誰に投票するか、どう考えるべきかを説いているのではありません。問題があるということを知ってほしいのです」
「何であれ、国を安全にするために考えたことならば声に出すべきです」
ウォレンのツイートには称賛の声が多く寄せられた。
中には、歴史に忘れ去られることを恐れていた関係者から、事件や犠牲者たちについて思い起こさせてくれたことに感謝するコメントもあった。
全国規模で報じられなかったものの、銃によって命を落とした他の犠牲者の名前を載せたリプライを送る人もいた。
ウォレンは、銃規制や法改正に関する個人的意見を表に出すのは控えるようにしている。
「深入りしようとは思っていません」
「ただ、声を上げることが必要だと思います。議論が成され続ければ、いずれ変化が訪れるはずです」
BuzzFeed NewsはEverytownに問い合わせた。Everytownは以前よりウォレンと関係があったわけではなかったが、彼女の行動は「情熱と創造性」を示しているとメンバーのテイラー・キングは称賛した。
「高校の卒業式というのは祝いの時間であるべきですが、悲しいことに、写真を撮るたびに命を奪われて卒業できなかった生徒たちのことを思い出します」
「銃による暴力を終わらせるためにできることはたくさんあるとわかっているから、声を上げる生徒がいるのです」
ウォレンのQRコードがついた帽子を自分も卒業式で使いたいという要望が多く寄せられた。
@Gi10eight @LexiCUnderwood Thank you. Do you mind if I put this on my graduation cap?
「ありがとう。私も自分の帽子に貼っていい?」
ウォレンはもちろんQRコードを全ての生徒に共有した。
「犠牲になった生徒たちは、私やクラスメイトたちと共に生きていきます」と彼女は語る。
「(銃規制にまつわる)問題はどこでも起こり得るのです。私はこれからも戦い続けます」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子