バングラデシュの総選挙で、与党に投票しなかった35歳の女性が集団レイプを受けた。
ダッカ在住の女性(同国の性犯罪法規定により被害者の名前は明かされていない)は12月30日、投票所だった近くの高校へ向かい、与党アワミ連盟ではなく野党のバングラデシュ民族主義党に票を投じた。
女性が地元記者に伝えた話によると、女性が投票ブースにいたところ、アワミ連盟の地元党員ルフル・アミンから、同党に投票しないことをなじられた。女性が手にした投票用紙を奪おうともしたという。
翌日、アミンが手配したと思われる数名の男が自宅へやってきた。男らは女性の夫と子どもたちを拘束し、複数回にわたって女性をレイプした。また、金品を奪い、レイプを口外すれば家族を殺して家に火を放つと脅したという。しかし女性は屈せず、暴行した男らの告訴に踏み切った。
以後、女性が証言する動画(顔が特定できないよう映像は加工)と受けた傷の画像がTwitterで拡散されている。
女性が被害を訴えたのを受け、ダッカ市内および女性が住む市内ノアカリ地区では、暴力に抗議する人々が立ち上がり、デモをしている。アワミ連盟は暴行に関与したとされるルフル・アミンを党から追放し、アミンを含む7人が当局に身柄を拘束された。男はいずれも容疑を否認している。
一連の逮捕で、シェイク・ハシナ首相にとって4期目は不安な幕開けとなった。与党アワミ連盟は今回の総選挙で圧勝したが、選挙戦を通じて暴力や不正行為による摘発はあとを絶たなかった。
首相の前任期中、バングラデシュでは衝突や人権侵害が相次ぎ、8月には安全な道路を求めた学生の抗議行動が大規模デモに発展、国全体が大きな混乱に陥った。
ハシナ政権は長年、自身への反対意見に対して不寛容政策を貫いてきた。わずかな批判も徹底的に排除し、最大野党であるバングラデシュ民主主義党は大きく弱体化している。
国連をはじめとする人権団体等は選挙後の混乱に対し、節度を保って平穏を取り戻すようバングラデシュへ呼びかけている。