20名死亡のリムジンバス衝突事故 無許可車両を無免許で運転していた

    「バス会社のオーナーは当局の許可が無いまま事故車両を使用させていた」とニューヨーク州知事が述べた。

    10月6日に衝突事故を起こし死者20人を出したリムジンバスは、先月ニューヨーク州DMV(車両管理局)による検査を受け不合格となり、公道を走行できる状態ではなかったと、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が8日明らかにした。

    「バス会社は事故を起こした車両を公道で使用する許可は得ていなかった」とクオモ知事は述べた。

    ニューヨーク州警察の発表によると、事故を起こしたリムジンバスは、スカハリー郡の州道30号線を南西方向に移動中、州道30A号線と交わるT字路交差点で停車しなかった。バスはT字路をスピードを出したまま横切り、ギフトショップ「アップル・バレル・カントリーストア」の駐車場に突入した。それから無人車両に衝突し、居合わせた2人が死亡した。

    巻き添えになった2人と、運転手を含むバスに乗っていた18人全員が死亡した。

    今回の事故は、2009年にニューヨーク州バッファロー市近郊で飛行機が墜落し50人が犠牲になって以来、交通事故としては最も深刻なものだと国家運輸安全委員会(NTSB)のロバート・スウォルト委員長は語った。

    8日、クオモ州知事はリムジンバスの運転手が当該車両の運転免許(日本でいう大型二種免許)を取得してなかったことを明かした。加えて、衝突事故の捜査が完了するまでリムジンバスを運行する「プレステージ・リムジン」社に営業停止命令を出す、と知事は語った。

    ニューヨーク州警察は、この会社が所有する車両のうち3台を押収して捜査を進めている。

    BuzzFeed Newsが連邦政府記録センターで調べたところ、プレステージ・リムジン社は過去2年間で車両5台の検査を受け、4台が不合格になったことが明らかとなった。

    事故原因については現在も捜査が続いている。NTSBから調査チームが事故現場に派遣され、まる1週間かけて事故原因を探ることとなっている。

    ニューヨーク・タイムズの報道によると、事故当日の6日に犠牲者のうち1人がバスの安全性について不安を漏らしていたという。バスに乗っていたグループは、別会社の車両をチャーターする予定だったが予約できず、急きょ代わりの会社を探してプレステージ・リムジンに依頼した。

    メリッサ・ヒーリーさんがニューヨーク・タイムズの取材に応じ、友人のエリン・マクゴワンさんから、バスの調子が酷いという内容のメールを受け取ったと語った。

    ニューヨーク・タイムズが確認したところ、「モーターの音がもの凄くて、みんな何も聞こえない状態なの」とメールでマクゴワンさんは書いている。

    「ビール工場に着くまでに、みんな耳が聞こえなくなるわよ」

    NTSBのロバート・スウォルト委員長は8日、事故車両の元となったSUV「フォード・エクスカージョン」の機械的構造を調査し、さらに連邦規制に則ってSUVがリムジンバスに改造されていたか調査すると語った。調査チームは、路面状況や衝突事故前後の運転手の行動についても調べるものと思われる。

    エンジンルームが運転席の後ろの位置まで押し込まれていたため、「激しい衝撃」が起きたのは明確であるとサムウォルト委員長は明かした。

    バスの走行速度はどれくらいだったのか、運転手がブレーキをかけたのか、乗客がシートベルトを着用していたかという点については、まだ判明していない。ちなみにニューヨーク州の法律ではシートベルトの着用は義務付けられていない。

    「別の車が一時停止の標識を無視したため、悲劇へとつながったようです」とサムウォルト委員長は述べた。

    「事故の内容だけでなく、事故原因についても調査中です。我々としては、こうした悲劇が2度と繰り返されぬよう最善を尽くします」


    この記事は英語から翻訳・編集しました。