TikTokで発生する"いじめ"の実態 運営会社のずさんな対応も問題に

    同アプリの機能の悪用により、TikTokのクリエイターたちへのハラスメントやいじめが多発している。

    TikTokのユーザーたちはアプリ内のハラスメントや、大量の低評価によるオンラインいじめに不満を訴えている。

    It has hit the point where the bullying on tik tok is seriously making me lose faith in humanity. Like these are fucking children pretending to kill themselves or me... seriously what is social media doing to kids... here’s a few of the worst ones (a thread) https://t.co/mnPIJuRLwZ

    カリフォルニア州オレンジ郡に住む21歳のナタリアさん(本人の希望により名字は伏せています)は、自分が投稿した動画に対してアプリのデュエット機能を使った誰かに首を吊る真似をした動画を投稿され、TikTokの嫌がらせに関するスレッドをまとめた。

    このデュエット機能により、ユーザーは他のユーザーの動画に直接反応することができる。BuzzFeed Newsはナタリアさんの動画に首吊りの真似をした動画を投稿したユーザーにコメントを求めた。

    「まだMusical.lyだった今年の5月くらいからこのアプリを使ってきました」とナタリアさん。

    「動画の編集のしかたが気に入ったので使うことにしたんです。TikTokになった時もすごくワクワクしました」

    しかし彼女によると、ユーザー同士がお互いを支え合うような雰囲気だったプラットフォームが、1カ月ほど前からデュエット機能、メッセージ、コメントなどでのハラスメントや脅迫などであふれるようになったという。

    「同性愛者で毛深い私はこういうことには慣れているので、適当に受け流してコメントを削除したり、ユーザーをブロックしたりしていました」彼女はそう話す。

    「そういう動画に影響されないようにはしていたんですが、子供たちから漂白剤を飲んだり首をつったり、自分を撃ったりするフリをする動画を何百回も送りつけられたり、自殺しろとコメントされたりしているうちに、だんだん苦しくなってきました」

    TikTokの広報担当者はBuzzFeed Newsに対し、アプリ内で安全な環境を確保することが最重要事項だと述べた。

    「安全でポジティブなアプリ環境の確保が私たちの再優先事項であり、悪用に対しては多くの対策を行っています。具体的な内容としては、プライバシー設定によって自分の動画に対するデュエットの作成やコメントが行える相手をコントロールすることができます。また、アカウントをプライベートに設定することで、自分のコンテンツを承認されたフォロワーのみに限定して公開することもできます。また、アプリ内で報告機能も提供しており、モデレーションチームが不適切なコンテンツや、利用規約に違反したアカウントの削除を行っています。詳しくは、当社の安全センターをご覧ください」

    デュエット機能によって嫌がらせを受けたことがあるのはナタリアさんだけではない。

    TikTokはハラスメント防止のためにデュエット機能をオフにできるようにしているが、これはポジティブな交流の機会まで奪ってしまうため、多くのユーザーはそうすることを望んでいない。

    TikTokで増加している嫌がらせはアプリの成長に対する反動だと見られ、TikTokを安っぽい、みっともないと見る向きもある。

    TikTokはソーシャルメディア上で頻繁にヘイトの対象にされるようになった。クレインさんによると、TikTokがまだMusical.lyだった昨年、彼女の動画がPewDiePie氏の「Stop Ruining Rick and Morty(リック・アンド・モーティを汚すのはやめろ)」というタイトルの動画に使われてから、ハラスメントの標的にされるようになったという。

    「彼が使ったTikTokの動画で私のユーザー名は伏せられていなかったので、それを見た人たちが私のアカウントに直接やってきたんです」

    その結果、彼女は約4カ月にわたって激しいサイバーいじめを受けた。ユーザー名を変えてそれを止めようとしたが、効果はなかった。「脅迫を受けていました」と彼女は言う。「その期間、数えきれないほど何度も自殺しろと言われました」

    クレインさんは自分と同じような嫌がらせを受け、それを理由にアカウントを完全に削除してしまったユーザーたちを知っているという。

    BuzzFeed NewsはPewDiePie氏にコメントを求めている。

    嫌がらせを受けたことのあるユーザーからは、PewDiePie氏のようなインフルエンサーによって、子供たちが悪意のある行為を普通のことだと思ってしまわないかと不安視する声も上っている。

    「デュエット機能で子供たちが自殺したり私を殺そうとしたりするフリをする動画を投稿しはじめたことで、TikTok自体が育ててきたコミュニティが注目されるようになりました」ナタリアさんはそう話す。

    「多くの子供たちが他人の真似をしているんです。そもそもこのアプリを使うには幼すぎる多くの子供たちがひっきりなしにネガティブな影響を受け続けていたら、悲惨なことになるのは当然です」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。