生まれながらの髪型を理由にした差別はダメ、絶対。

    「ニューヨークでは、黒人の人種差別と非常に根強く結びついてきた髪型への差別に毅然とした態度で向き合います」

    ニューヨーク市は2月18日、髪型に関する差別を禁止するガイドラインを公表した。アメリカ国内でこのようなガイドラインが発表されたのは初めてのことだ。

    ニューヨーク市の人権に関する施策の担当部署は全市民が対象だが、特にこれまで生まれながらの髪型を理由に差別されてきた黒人の人権を守ることにつながると考えている。

    「ニューヨークでは、黒人の人種差別と非常に根強く結びついてきた髪型への差別に毅然とした態度で向き合います」と人権に関する施策をリードするCarmelyn Malalis氏はBuzzFeed Newsの取材に答えた。

    今回定められたガイドラインによって、ニューヨーク市民はマナーに反しない範囲で、生まれながらの髪型を守る権利を保障されている。それは、アフリカ系に多いロックス、コーンロウ、ツイスト、三つ編み、アフロなども例外ではない。

    「アフリカにルーツを持つ人々のカールした髪型に対する偏見は、黒人の人々に対する偏見と結びつき長年に渡って蓄積されてきたものです」とNY市長のビル・デブラシオ市の妻、シャーレン・マックレイ氏はコメントしている。

    特定の髪型はフォーマルな場面には相応しくないとする偏見は根深い。そうした偏見をなくすために、このガイドラインは制定されている。「社会において当たり前とされている美しさやプロとしての振る舞いの多くは、白人の価値観によって決められてきました」とMalalis氏は語る。

    「髪型というのは極めて個人的な事柄です」
    「それはあなたの一部であり、自分について表現するパーツの1つです」

    One of my favorite photos of @BarackObama #PresidentsDay Hair is a part of you. Race discrimination based on hair is illegal in NYC. #YourHairYourRightNYC @NYCCHR released new legal enforcement guidance addressing discrimination based on hair — https://t.co/NX1V9356g5

    当局は現在、これまでに髪型を理由に差別されたとする7つのケースを調査している。

    これらのケースの被害者の一部は、髪型を変えることを強制されたことがある。また、生まれながらの髪型で働いていたところ、髪型が清潔感に欠けるとされ、髪型を変えるか仕事を辞めるかを不当に迫られた者がいたことも判明した。

    黒人に対する髪型による差別は、2018年12月にニュージャージー州でドレッドヘアを切るように強要された事件をきっかけにアメリカ国内で議論を呼んでいる。

    ニューヨーク市の担当者はこの事件が今回のガイドライン制定に影響を及ぼしたことを認めた。

    「あの動画を見た他の人々と同じように、私も強い衝撃を受けました」と彼女は生徒が髪を剃られる衝撃的な動画についてコメントした上で、「誰かが自らのアイデンティティに関わることを変えることを強いられている現実に驚いた」と明かしている。

    2014年には米軍でドレッドヘアやアフロを禁止する髪型に関する規定に非難の声が上がり、一部緩和された

    今回制定されたニューヨーク市のガイドラインは、すべての市民を対象にしており、雇用主や学校、不動産業者らの差別的言動を制限している。

    例外とされているのは、衛生面の観点でヘアネットの着用が必要な職種だ。

    「これまで多くの黒人が職場や学校で髪型を理由に自らを恥じ、除外されてきました。しかし、こうした実態は人種差別であるという認識が徐々に浸透しつつあります」とアメリカ自由人権協会に所属する弁護士、リア・マーは主張する。

    「今日、ニューヨーク市はすべての人が自由に働き、学ぶための重要な一歩を踏み出しました」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:千葉雄登