最後の言葉は「私には言論の自由がある!」 中国人元教授、テレビ生放送中に身柄を拘束される

    言論の自由を叫ぶ。

    アメリカの国営放送、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の番組に電話出演していた中国人の元教授・孫文広さんが、中国警察から身柄を拘束された。

    拘束された場所は電話取材に応じていた彼の家で、まさにインタビューの生放送中だった。

    電波に乗った彼の最後の言葉「私には言論の自由がある」

    Chinese police broke into the home of Wenguang Sun, a retired professor who is critical of China's human rights record as he was expressing his opinions on a Voice of America (VOA) Mandarin TV show. https://t.co/3TNNgfT3n8 https://t.co/S1J65p4TvY

    「中国警察が元教授・孫文広の家に押し入り、VOAで放送の中国語番組にて、中国の人権問題について意見を述べていたときに身柄を拘束」

    孫さんは、退職前、上海大学にて経済学の教鞭をとっていた。今回、VOAの中国語番組に電話出演という形で呼ばれたのは、習近平国家主席のアフリカへの高額支援に関して議論するためだった。

    山東省の自宅で電話インタビューに応じていた孫さんのもとを、突如、中国警察が訪問。やりとりの一部始終が、音声で残されている。

    「何ですか? 何か間違ったこと言いましたか?」

    「人々は貧しい暮らしをしています。私たちのお金を、アフリカで使うべきではない。(警察に向かって)ここに来ている7、8人の人。聞いてください。こんなお金の使い方は、国にとって社会にとってよくないのです」

    「何ですか? 何するんですか?」

    「家に押し入るのは違法行為だ!」

    「私には言論の自由があるんだ!」

    その後、VOAが孫さんの携帯電話と中国のメッセージアプリ「WeChat」にて連絡をとるも、返答なし。

    その後、軍隊が所持するゲストハウスにて、孫さんとその妻の身柄が拘束されていることがVOAによる取材で明らかになった。携帯などの連絡ツールは、警察に没収された。

    VOAは、今後、状況を見守るとともに、視聴者に情報を提供していくと発表。VOAの取材によれば、孫さんは長年、中国当局から目をつけられており、近所の人曰く、私服警官がよく見回っていたともいう。ネットで中国共産党の一党独裁の禁止などを呼びかけた「08憲章」の主要メンバーの1人でもあった。

    今回、VOAに出演することになったきっかけは、習近平に向けた公開状。内容は、海外の支援や発展のためにお金を使うべきではない、中国国内で使われるべきだというもので、WeChat上で大きく拡散され、海外にも広まっていた。

    生放送中の身柄拘束はTwitterで拡散。安否を気遣う声が寄せられている。

    孫文廣先生老當益壯,勇敢堅韌,是吾輩的學習榜樣。 https://t.co/SIjNNCI94q

    「孫文広は重要な人物、勇気と忍耐力をみせてくれた。彼は、我々の世代のお手本だ」

    孫さんが身柄を拘束されたのが、今回が初めてではない。六四天安門事件から29年の式典での抗議集会を計画したことが理由で、今年5月に43日間拘留されていた。

    アメリカと中国での貿易戦争が加速するにつれて、中国国内では急激に習近平への批判が強まっている。

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:soko / 編集:BuzzFeed Japan