太陽の光を浴びると暗くなるコンタクト、アメリカで認可が下りる

    太陽の光に反応して暗くなるコンタクトレンズが米食品医薬品局(FDA)に認可された。その詳細をお伝えしよう。

    太陽の光にさらされると自動的に暗くなるコンタクトレンズがあったら、試してみたいと思うだろうか?

    米食品医薬品局(FDA)が「調光添加剤」を含むコンタクトレンズを認可した。調光添加剤は太陽の光を浴びると少し暗くなり、再び透明に戻る性質を持つ。

    このコンタクトレンズは、「トランジション」サングラスとよく似ている。強い直射日光を浴びると暗くなるが、室内では色が薄くなり透明に戻るサングラスのことだ。調光技術を利用したこの種のサングラスは、1990年代から市場に出回っている。

    FDA医療機器放射線保健センター眼科耳鼻咽頭科機器部門の責任者マルビナ・エイデルマンは声明の中で、「日なたで自動的に暗くなるサングラスと同じ技術を応用した世界初のコンタクトレンズです」と説明している。

    今回の認可にあたり、24人規模の臨床試験を行い、このコンタクトレンズが昼夜ともに、運転の妨げにならないことが示された。FDAによれば、「臨床試験の結果は、コンタクトレンズの着用が運転能力、視覚のいずれかに関与するというエビデンスがないことを示唆」しているという。

    このコンタクトレンズのメーカーは、悪霊にとりつかれているような外見になる心配はないと断言している。

    ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置くジョンソン・エンド・ジョンソンのコミュニケーション担当VP、ドナ・ロレンソは、「エイリアンのような不気味な目になる心配はありません」と話す。

    ジョンソン・エンド・ジョンソンは、コンタクトレンズ「アキュビュー・オアシス(Acuvue Oasys)」シリーズを販売しているが、このシリーズに、「トランジションズ・ライト・インテリジェント技術」を使用した製品を加える計画だ。最大14日まで連続使用できるソフトコンタクトレンズだ。ロレンソンはBuzzFeed Newsの取材に対し、「この技術を実現するまでに何年も費やしました」と述べている。

    実際に装着したときの変化がわかる画像は存在しないが、ロレンソンによれば、目の色に大きな影響を及ぼさないよう工夫を凝らしているという。

    「目の色は人間の外観にとって大事なものです。われわれはそれを変えたくないと考えました」とロレンソンは語る。

    ただし、目の色が明るい場合、色の変化に気づくかもしれない。

    ロレンソンによれば、茶色の目に装着した場合は、ほとんどわからないという。しかし目の色が明るい場合は、わずかにグレーを帯びていることに気付く可能性がある。

    また、サングラスの場合は、透明に戻るまでにしばらくかかるが、このコンタクトレンズは違うとロレンソンは話す。「かなり短時間で透明に戻るはずです」

    ジョンソン・エンド・ジョンソンによれば、2019年前半の発売予定で、価格は未定だという。電話やコンピューターなど、ブルーライトを放出する機器が見にくくなることもないとされている。

    「このコンタクトレンズは主に紫外線(UV)に反応します。不活性(透明)の状態では、大量のブルーライトを吸収することはありません」とロレンソンは説明する。「臨床試験でも、画面が見にくくなったというフィードバックはありません」

    ただし、装着者の目をUVから守ることができるかどうかはわからないため、UVカット効果のあるサングラスはやはり必要だ。UVは、いくつかの目の疾患の原因になりうる。水晶体が曇る白内障や、中心視力が低下し、失明にもつながりかねない黄斑変性。さらには、目の表面とまぶたの内側を覆う結膜の腫瘍といった疾患だ。

    「白内障および黄斑変性の発症や重症化に影響を及ぼすかどうかはまだわかっていません」とロレンソンは話す。「これらの疾患の患者は引き続きサングラスを着用し、可能な限りUVから目を守ることをお勧めします」

    米国眼科学会で臨床試験関連の広報を担当する眼科医のラビ・ゴエル博士によれば、UVから目を守る最も効果的な方法は、UV400の偏光レンズを使用したラップアラウンドサングラスをかけることだという。UV400レンズはUVAとUVBの両方を遮断し、その結果、約99.9%のUVがカットされる。

    目にとって、平面(水面など)に反射した光は強過ぎることがあるが、偏光レンズは、こうした光を遮断する。ゴエル博士はBuzzFeed Newsの取材に対し、偏光レンズは「垂直方向の光線を遮断し、水平方向の光線のみ通過させます。偏光サングラスをかけると、視覚の質が向上するのはそのためです」と説明した。「トランジションズ技術の有無にかかわらず、コンタクトレンズで同じ効果を得ることはできないでしょう」

    「私は個人的に、晴れの日は、偏光サングラスなしで水辺に行くことはありません。目の安全と質を守るためです」

    ゴエル博士はまた、ほとんどの人はコンタクトレンズを選ぶとき、さまざまな種類を数週間ずつ試す傾向があると指摘し、おそらくこのコンタクトレンズも試用期間が必要だと述べている。

    「試す価値のある面白い技術だと思います。最終的には、使用感の良し悪しが大きな決め手になるでしょう」

    「眠気や疲れ目、頭痛に効果があるかどうかはまだわかりません。サングラスやトランジションズ技術によって守られていない状態でまぶしい光を浴びた人は、このような症状をよく訴えます」

    このコンタクトレンズを評価するには、(臨床試験ではなく)実生活で、もっと多くの人に試してもらう必要があるとゴエル博士は考えている。

    「歓迎すべき技術だと思います。私も自分の患者に使ってもらい、効果を確かめてみたいと思います」

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan