【写真】母の優しさにほっこり。水中出産中にダウン症に気づいた母親の気持ち

テキサス州シーダーヒルに住むロハス一家には、10歳のザビア、8歳の双子ケイデンスとゼイデン、そしてもうすぐ2歳になる幼児のイヴラがいる。

ロハス家は、ベビーシャワーを開いてもらう代わりに、専門のカメラマンに、誕生の様子を撮影してもらうことにしていた。それに、アンバーの胎児検診と超音波検査では、何の問題もなかった。彼らは、生まれたときのサプライズのために、赤ん坊の性別は事前に訊かないと決めていた。すでに男の子と女の子が2人ずついるので、性別が不明でも問題なかった。だが、なぜか生まれてくるのは男の子だと誰もが確信しているようだった。

出産予定日の1週間ほど前の午前2時に、産徴があった。アンバーがそれまでの出産に利用していた助産所に集まるために、ロハス家の全員が車に乗り込んだ。

助産所では、アンバーの陣痛は数時間、収まった。だが、助産所の外に出るとすぐに陣痛が始まった。「陣痛がこんなに激しく短い間隔になって助産所に戻ることになるとは思っていませんでした」とアンバーは述べる。

「強い陣痛で、否応なく身体が赤ちゃんを押し出しているようでした。気がつくと、赤ちゃんは生まれ、私の腕の中にいました」

「水から赤ちゃんを引き上げる時に赤ちゃんの顔を見ることができました。そして、顔を見て気がついたのです」とアンバーは述べる。「見下ろして、『あら、この子はダウン症なんだわ』という感じでした」

ダウン症は、通常2組の染色体が3組ある「標準型21トリソミー」が主要な原因だ。のっぺりとした顔やつり上がった目、手のひらの深いしわ、低い筋緊張のような、一定の身体的特徴が見られることもある。

そして、生まれて来たアマデウス・リーン・ロハス（愛称はアミ）が女の子でもあることに、ロハスは気づいた。ロハスは「すごくワクワクしました」なぜなら、アミに年がいちばん近い子が女の子だったからだ。「女の子どうしなので、2人いっしょに成長できることがうれしかったのです」

「分娩室でただ見続けながら、ダウン症の可能性があるとなぜ誰も言わないのか、と思っていました」とロハスは言う。

「いまは、数週間経っても我が子がダウン症だと知らずにいる人たちもいるということを知っていますが」

最終的には助産婦から、もっと詳しい診断を得るためにアミを病院に連れて行ったほうがいいでしょう、と言われた。

「心配させたくないけれど、ダウン症の遺伝子マーカーがあるようです、と言われました。そう言われた時、頭のなかで、もう知っていたと思いました」とロハスは語る。「その話が出たもうひとつの理由は、安静時の心拍数が低いことでした」

ダウン症の新生児の約半分は、先天性の心疾患があり、場合によっては外科的治療が必要になる。安静時の心拍数が低いのは、アミもその1人かもしれないことを示していた。

病院で一連の検査を受けた結果、アミの心臓には問題があり、数カ月以内に手術が必要だとわかった。「母親として、自分の赤ちゃんがダウン症であろうとなかろうと、それはとても恐ろしいことでした」とロハスは言う。

手術を受けられるようになる前に、9月生まれのアミは、RSウイルス感染症に罹った。RSウイルス感染症はたいていは、すぐに回復する軽度の呼吸器感染症だが、乳幼児や高齢者が罹ると危険を伴いかねない。アミは12月に、病院に20日間入院した。

「私にとってはたぶん、あの時がいちばん恐ろしい時期でした。呼吸器疾患で息をするのにも苦労しているうえに、心疾患を抱えている娘を見ていたからです。私達はクリスマスを病院で過ごしました」とロハスは述べる。