2018年2月、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で17人が死亡する惨事が起こった。それを受けて同校は新しいセキュリティ対策の一環として、キャンパス内で生徒は透明なバックパックのみ使用が許可されることになったと、3月下旬に発表した。
「春休み明けからは、生徒がキャンパス内で使用を許可されるのは透明のバックパックのみになるでしょう」とブロワード地区公立学校の最高責任者ロバート・ランシー氏はストーンマン・ダグラス高校の家族に宛てた手紙の中で言っている。
透明なバックパックを持っていない生徒には無料で1つ提供されると手紙に記載されている。
この手紙はニューヨークタイムズ紙によって最初に報じられ、木曜日にBuzzFeed Newsにコピーが提供された。
手紙には、すべての生徒に身分証明用バッジが発行され、すべての生徒と教職員はキャンパス内で常にバッジを着用する必要があるということも書かれている
この地区ではまた、金属探知の機械を使用するほか、特定のキャンパスへの入口には恒久的な金属探知器を設置することも検討している、とランシー氏は話す。
これらの措置はマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒だけに対するものだが、地区全体のセキュリティ対策としては、常に教室のドアを施錠すること、外部からアクセス可能な出入り口の監視、学生や教職員に対して定期的に緊急時への備えと対応トレーニング実施の指示を含んでいる。
フロリダ州はまた、署名により成立した学校安全法の一環として、ブロワード郡学区に少なくとも一人の支援要員を配置するために850万ドル、学校のメンタルヘルスサービスを拡大するために600万ドルを提供するとしている。
「マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校での悲惨で無意味な暴力行為を過去に遡って変えることはできませんが、力を合わせれば、私たちは未来を変えることはできます」とランシー氏は手紙に記している。
このランシー氏の手紙は、生徒たちがその週の土曜日に学校での銃による暴力の終わりを呼びかけるデモンストレーション「March for Our Lives」を準備している最中に届いた。このデモンストレーションは、銃乱射事件で生き残った生徒たちによって始まった運動の一環である。
しかし、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒の何人かは、キャンパス内で透明なバックパックのみ使用が許可されるという学校の方針に不満を漏らしている。
マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校に通うカイラ・サイモンさん(17)は、BuzzFeed Newsに「キャンパス内で武器を所有させないために透明なバックパックを生徒に強要しているなんて、誤った試みだと思います」
「ナイフを持っていたあの生徒たちが、透明なバックパック、金属探知機などを推進する存在になるべきではありません」と話す。
学校での銃の暴力を終わらせるための #NeverAgain ムーブメントを支持している人を含め、銃乱射事件の生存者の多くは、その対策についてTwitterに不満を表明した。
マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒のカーリー・ノヴェルさん(17)は、BuzzFeed Newsに「透明なバックパックは何も解決しないと強く思います」と語った。 「透明なバックパックは単に私たちを不快にさせ、私たちの学校が普通と同じではないことを思い出させるだけのもののように感じます」
ノヴェルさんは、たとえ透明なバックパックを使ったとしても、やろうと思えばバックパック内のフォルダとフォルダの間になんでも隠すことができると指摘した。
「警察が私たちを守ることができないなら、バックパックにもできないでしょう。学校へ安心して通いたいだけ。いまは安全だと感じることができていません」と彼女は言った。
ブロワード郡公立学校のスポークスパーソンは、BuzzFeed Newsの取材に対し、透明なバックパックに関する学生の懸念に対し、コメントすることは特にないと述べた。
一部の生徒は、学校を安全に保つための試みの価値を認めてはいたが、バックパックの中身を公開することに関しては不快感を表明した。
「プライバシーが持てなくなって寂しいと思うだろう。でももしそれが私たちを安全にするなら、文句は言いません」と同校の生徒サラ・ジオバネッロさん(16)はいう。
「でも、バックパックに生理用品が入っているのが見えてしまったり、何を持っているかを知って強奪されたりしないかと心配になります」
同校のモルガン・ウィリアムズさん(16)は教育委員会が生徒を安全に保つためにできる限りのことをしているのだと認めているが、やはり透明なバックパックは嫌だという。
「たしかに、もし誰かが武器をバッグに入れて持ち込もうとしたら見えるでしょう。でも、校内を歩く時や教室で座っている時に、自分が何を持っているかをいつでも見せているというのは落ち着きません。学校では、バックパックは個性を表現するものの一つだから、私たちからそれを取り上げるないでほしい」とウィリアムズさん。
透明なバックパックの所持を学生に命じることは、根深い問題に対する一時的しのぎにすぎないと指摘する生徒もいる。
#NeverAgainムーブメントの中核メンバー、ジャクリーン・コリンさん(17)は、「政治家へのメッセージ:私たちの安全は危機に瀕しているし、プライバシーは剥ぎ取られようとしています。問題の核心を修正してください。そうすれば、こんな深い傷のためにバンドエイドを使う必要はありません」とBuzzFeed Newsに伝えた。