ドナルド・トランプ米大統領の実の姉で元連邦裁判官のマリアン・トランプ・バリー氏(83)が、トランプ氏は「冷酷」で「信用できない人物」だと語る音声を8月22日、ワシントンポストが公開した。
BuzzFeed Newsが入手した音声では、バリー氏は自らのめいのメアリー・トランプ氏との会話の中で、自身の弟を「インチキ」「嘘つき」「節操がない」と痛烈に批判していた。
この会話の音声は、2018年から2019年に、トランプ氏、バリー氏両方のめいにあたるメアリー・トランプ氏が密かに録音したものだという。
「全てがインチキ。全てがインチキで、冷酷。ドナルドは本当に冷酷」と、繰り返しトランプ氏の「冷酷さ」を強調した。
バリー氏は特に、トランプ氏の移民政策について厳しい意見を述べている。
2018年、トランプ氏の移民政策厳格化によって、国境で移民の子供たちが親と離れ離れに収容され、社会問題となった。そんな中、トランプ氏はFox Newsのインタビューで、当時は現職の裁判官だったバリー氏を「国境に送る」考えを示していた。
これに対しバリー氏は、「彼がしたいのは、自分の支持層にアピールすることだけ」とメアリー・トランプ氏に話している。
またバリー氏は、トランプ氏のツイートにも触れた。
「(トランプ氏の)くだらないツイートと嘘には、本当にうんざり」
「この際言ってしまうけど、あなたも彼のことは分かるでしょう。話がコロコロ変わる。ろくに準備もしないで適当なツイートばかりする。嘘ばかり。本当にどうしようもない」
メアリー・トランプ氏は、トランプ大統領に関する暴露本「Too Much And Never Enough」を執筆している。書籍の中では、トランプ大統領がペンシルベニア大学に編入する際、友人に金銭を支払って、SAT(大学進学適性試験)を替え玉受験したと記されている。
これまで、この主張の根拠を明らかにしていなかったが、音声を聞く限りバリー氏との会話で知ったようだ。
「彼は1年間フォーダム大学に通ったけど(注:実際は2年間通っている)、その後知り合いに替え玉受験をさせてペンシルベニア大学に入ったの」
そうバリー氏が話すと、メアリー氏は驚いた様子で「そんな!」と反応している。
「知り合いを使って、替え玉受験したの?」
「私が記憶している限りでは、たしかSATだったはず。替え玉を頼んだ知り合いの名前も、まだ覚えている」
バリー氏は、その人物を「ジョー・シャピロ氏」であるとはっきり述べている。この人物については、メアリー・トランプ氏も書籍の中で言及している。
ペンシルべニア大学でトランプ氏と友人関係だった、ジョー・シャピロ氏という人物は実在し、ペンシルベニア大学でトランプ氏と友人関係だったことが判明している。しかしシャピロ氏はすでに亡くなっており、シャロピ氏の妻が夫の無実を主張している。
メアリー・トランプ氏は、このジョー・シャピロ氏とは別の "ジョー・シャピロ氏" が替え玉受験をしたとワシントンポストに話している。
ホワイトハウスは、トランプ氏の替え玉受験疑惑を否定している。
メアリー・トランプ氏のスポークスパーソン、クリス・バスタルディ氏からBuzzFeed Newsに届いた声明には、「訴訟の可能性を予測し、自分の身を守るために会話を録音することが賢明だと感じた」と記されていた。
バスタルディ氏は、トランプ氏の替え玉受験疑惑についても言及している。
「複数の著名人が、子供を大学に入学させるために倫理的ではない手段を使い、現在有罪判決を受けそうになっています」
「一方アメリカの大統領は、お金を払ってSATの替え玉受験をしていたのです」
71歳で亡くなったトランプ大統領の弟、ロバート・トランプ氏の追悼式の翌日、音声が公開された。
これを受けホワイトハウスは、22日にトランプ大統領の声明を発表した。
声明には次のように書かれている。
「毎日、何か出てくるが、どうでもいい。弟のロバートを失って寂しい。私は今後もアメリカ国民のために全力で取り組む。異論もあるだろうが、結果を見れば明らかだろう。間もなくアメリカは、これまで以上に強い国になる」
BuzzFeed Newsは、バリー氏にコメントを求めている。
この記事は英語から翻訳・編集しました。