2015年に当時85歳の父親を殺害したとみられるフロリダ州在住のこの姉妹は、最近になって2人が性的関係を持っていたある男性に対し、自分たちの行動を告白した。
この告白がなければ。2人は「難なく罪を逃れることができていた」だろうと、捜査当局はみている。
3月5日、リンダ・ロバーツ容疑者(62)とメアリー=ベス・トマセッリ容疑者(63)は、ちょうど4年前の2015年3月5日に、病を抱えていた父アンソニー・トマセッリさんを殺害したとして殺人の罪で起訴された。
「これはある意味で、いわゆる完全犯罪でした。争った形跡や犯罪を匂わせる要素が一切見つからなかったからです」ピネラス郡のボブ・グアルティエリ保安官は、5日に行われた記者会見でそう述べた。
「彼は癌と認知症を抱え、病状は深刻でした。...彼女たちは難なく罪を逃れていたはずです」
2015年3月6日早朝、パーム・ハーバーの民家で遺体が発見されたとの通報を受け、保安官らが対応した。アンソニーさんからの反応がなかったため、救急隊員らは彼に心肺蘇生措置を行った。彼はその場で死亡が確認され、当時保安官らは犯罪の可能性を疑わなかったという。
取り調べに対し、姉妹は前日に車で父親をビーチに連れていったと話していた。帰宅後、父親はソファで眠ってしまったという。翌朝、2人が様子を見に行くと、彼は呼吸をしていなかった。姉妹は保安官らに対し、父親に心肺蘇生を試み、緊急通報を行ったと話した。
姉妹の父親であるアンソニーさんのプライマリ・ケアの担当医が死亡証明書にサインし、彼の年齢、癌、認知症、ペースメーカーの使用といった病歴などから自然死と断定した。
自然死とみられていたことから遺体の検死等は行われず、捜査はそこで終了したとグアルティエリ保安官は述べた。
グアルティエリ保安官によると、昨年8月~9月頃、メアリー=ベス容疑者はバーで知り合った男性と性的関係を持つようになったという。その後彼女はこの男性を妹のリンダ容疑者に紹介した。リンダ容疑者は結婚している。リンダ容疑者もこの男性と性的関係を持つようになった。当局はこの男性の身元は明らかにしていない。
この男性はリンダ容疑者の「奇妙な振る舞い」に気づき、何かが彼女を悩ませていると思ったと、グアルティエリ保安官は述べた。
2月12日、リンダ容疑者はこの男性に対し、メアリー=ベス容疑者と共に父親を「安楽死させた」と話し、その詳細について語ったという。
男性は携帯電話でその会話を録画し、翌日保安官事務所に出頭し、リンダ容疑者の告白を記録した音声つき動画のコピーを提供した。
男性はさらに当局に協力し、そこから2人がこの殺人を「計画的に」行い、父親は余命数ヶ月だったが介護施設への入居を拒んだことから「安楽死」させたという告白を引き出した。
記録された音声によると、当初姉妹は「大量の睡眠薬」をアンソニーさんの酒に混ぜ、彼の殺害を計画していたという。しかしメアリー=ベス容疑者が酒の量を増やしすぎて睡眠薬の濃度が薄まり、計画は失敗に終わった。
その後、リンダ容疑者がアンソニーさんの顔に枕を押し付けて窒息死させようとしたがこれも失敗したと、グアルティエリ保安官は述べた。
最終的にリンダ容疑者がアンソニーさんの喉に布を詰め込み、彼の呼吸が止まって死亡するまでメアリー=ベス容疑者が鼻をつまんで腕を押さえつけたと、当局は発表した。
メアリー=ベス容疑者の告白によると、成人している彼女の娘――犯行当時同じ家の中にいた――に睡眠薬を飲ませて「気を失わせ」、2人が父を殺害するところを目撃されないようにしたという。
その後姉妹はベッドに入り、死亡した父親を一晩中ソファに放置していたとグアルティエリ保安官は述べた。
告白を録音した音声によると、翌朝2人は父親が死んでいるのを発見した「フリ」をし、形だけの心肺蘇生を行い、緊急通報したという。
メアリー=ベス容疑者は、父親を殺害した後もペースメーカーが彼の体を脈打たせていたので、「奇妙な」感じだったと表現している。
グアルティエリ保安官によると、先週リンダ容疑者は性的関係を持っていたこの男性に対し、夫が家庭内暴力で逮捕されており、「夫にも死んでほしい」と話したという。
姉妹は父親の家を売却して得た12万ドルを、今回の殺人には関わっていないとみられる兄弟と3人で分け合っていた。
グアルティエリ保安官は、今回の事件はリンダ容疑者が「カジュアルな性的関係を持っていた」男性に告白しなければ明るみとなることはなかったと話している。
またグアルティエリ保安官は、この件を報告し当局に協力したこの男性を称賛した。
「2人がこれだけ計画的に父親の殺害に及んだというのはおぞましいことです」と、グアルティエリ保安官は述べた。「2人が罪を逃れることがなかったのは幸いです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。