米テキサス州ダラスで、少なくとも5人の警官が殺され、別の警官7人と一般人2人が怪我をした銃撃事件。ダラス警察は、狙撃犯を殺害するために「爆弾ロボット」を使った。
数時間に及ぶ交渉を、容疑者が打ち切った後の銃撃戦。ダラス警察のデイビッド・ブラウン署長はこう語った。
「爆弾ロボットで容疑者を吹き飛ばす以外の選択肢は全く考えられなかった」
「他の方法では、署員が死ぬ危険があった。容疑者は爆発で死亡した」
「爆弾ロボット」が使われたことを受けて、SNS上では、アメリカの警察が容疑者を殺害するために遠隔ロボットを使うのは初めてではないか、という議論が巻き起こった。
警察は遠隔操縦ロボットを、不審な小包の監視や、爆弾処理のために、よく使っている。場合によっては、ロボットと小型の起爆装置を使って、爆弾かもしれない物体を破壊することがある。
だが、科学技術コンサルティング企業NeoLudditeの創設者で、シンクタンクのストラテジストであるピーター・シンガーがBuzzFeed Newsに語ったところでは、爆弾ロボットを警察が容疑者殺害に使ったのは、「知る限り初めて」だという。
「米軍がイラクで同じようなことをしていたのは知っている。しかし、警察がこのような使い方をした事例は、聞いたことがない」と、彼は言った。
シンガーは2009年の著書『Wired for War』のリサーチ中、米兵から、小型監視ロボ「MARCbot」に爆薬をテープで巻き付けたものを反乱軍に対して使っていた、と聞いたそうだ。
シンガーによると、MARCbotは武装ロボではなく、そのように設計されてもいない。そういった使い方はあくまで「臨機応変な解決策」だが、「ダラス警察の対応には共感できる」と語った。
爆弾処理ロボットは爆弾処理のため高圧水を使うこともあるし、安全に処理するため、爆薬を使うこともあるという。
CNNの警察アナリスト、ハリー・フックは、「この装置について聞いたのは初めてだ」と語った。
一方、Popular Science誌のテクノロジー・ライター、ケルシー・アサートンは、次のようにツイートした。
「おそらく米国内では最初だけど、外国も含めると初のケースではないだろう」
アサ―トンは今回のケースが、「異常な状況」に対応するための「普通じゃない使い方」だったと語った。彼は、「殺傷目的以外に使うのがベスト」だとも付け加えた。
ペンシルベニア大学のDistributed Systems Labの科学者、マット・ブレイズは、ロボットを「武器として」転用することへの懸念をツイート。今回の使い方は「即興」で、ロボットは殺害のために設計されたものではないようだ、と語った。
2014年のNPRのレポートによると、2006年以降、米国防総省は、米国内の地方の司法機関に479台の爆弾処理ロボットを配置している。
Popular Science誌によると、2015年6月、ダラス警察署が銃を持った容疑者に狙われた時、「爆発物処理用ロボット」が使われた。しかし、その時の用途は、警察本部の外にあった疑わしい小包と爆弾を処理し、襲撃者の車を監視するためだった。