2016年に起きたとされる性的暴行の被害者が、新進の美容系ユーチューバーである元友人を非難している。新しいオンラインブランドを守るために、過去に起きたことを「書き換えた」というのだ。
複雑な後遺症は、2年以上続いている。Gothfruitsというハンドルネームで知られ、ノンバイナリージェンダーを自認している美容系ヴロガー(ビデオ・ブロガー)、リン・ロドリゲス(20歳)は、ファンから公の場で、レイプ行為を擁護したいじめっ子として非難されている。
ロドリゲスはBuzzFeed Newsに対して、被害者がレイプされたという発言を当時信じず、被害者を「傷つけたことを心から申し訳なく思っています」と語った。ただし、今はもう大人になっており、10代の頃の自分を基に、今の自分を判断してほしくないと強く主張した。
「17歳のころの自分が、今の自分と同じだとは思いません。わたしは毎日、新しいことを学んでいます。文字どおり大人になりつつあり、もうそんな風には考えていません。それに、彼女たちを傷つけたことを申し訳なく思っています」
だが、Gothfruitsの若い進歩的なファンたちは、Gothfruitsの回答に満足していない。一線を引き、どれだけ時が過ぎていようともう支持できないと述べている者もいる。
話の中心人物は、ロドリゲスと思春期時代に友達だった21歳のアンダー・アヤラだ。アヤラはBuzzFeed Newsに対して、元カレにレイプされたと語り、その一件についてロドリゲスに打ち明け、元カレについて警告しようとしたが、その後、ロドリゲスは彼とつき合ったと述べた。
「あれは2016年、最終学年の時でした。私は卒業したばかりでした。性的暴行を受けたので、その時に別れたんです」とアヤラは述べる。
ロドリゲスとアヤラは「親友」だったが、元カレとロドリゲスの間で「何かが起きている」と感じていたという。
「だから、ロドリゲスに話しかけ、『私の元カレは、誰であってもつき合ってもいいよ。私は気にしない。でも、この相手については、あんたの安全が心配』というようなことを言ったんです」
アヤラによると、その後の出来事は、急激に手に負えなくなっていったという。
レイプのことは親しい友人数人と家族にしか話していなかったのに、「皆が性的暴行について話し始めたのに何となく気づきました」とアヤラは語る。「皆から、ロドリゲスが、私が嘘をついている、そんなことは起きていない、私が嫉妬しているだけだと話していたと言われました。それにロドリゲスは、[元カレは]とてもいい奴だ、と話していたようです」
精神的に疲れてしまって、いったん「プラグを抜く」必要があると感じた、とアヤラは語る。「皆と関係を絶ち、仕事を辞め、電話番号を変えました」。その後、心理療法を受け始めた。
2017年に、アヤラはロドリゲスに連絡を取り、2人の間に起きたことについて話そうとした。だが、返事はなかった。代わりに、ロドリゲスのTwitterアカウントでサブツイート(名前を出さずに特定の人物についてツイートすること)されているのに気づいた。
ロドリゲスの古いツイートには、こう書かれていた。「起きてみたら、見知らぬ番号から、もう必要がない、お笑い草な謝罪文が送られてきていたのに気づくのは、もううんざりだ」
「ロドリゲスにとってはこの問題はどうでもいいのだ、と気づきました」とアヤラは語る。
その後、2018年2月に、アヤラとロドリゲスの共通の友人が@gothfruitsのツイートに返信したことで、プライベートな問題が公になった。
ロドリゲスのツイートには、次のように書かれていた。「知らぬ他人だらけ、それも特に男性がいっぱいいる場所に、酔っぱらった女友達を置いてきたとしたら、それはとんでもないクズだ」
友人はこのツイートに返信し、ロドリゲスが1人の女性(アヤラのことだ)の「心を打ち砕いた」と非難した。「本当にレイプだったと本人が思えなくなり、そうしたリツイートに傷ついて、立ち去る」までになっていると批判したのだ。
そして、ロドリゲスと別のユーチューバーKalvin Garrahとの間で最近、この件とは無関係な口論が公然と起きた時に、Garrahのファンがこのツイートを発見した。ファンはブログの掲示板でこのツイートを公開し、最終的にTwitterに投稿した。
深刻な非難に満ちた、脈絡のないツイートに見えるものに気づく人が増えるにつれ、この件でロドリゲスをオンラインで非難する者が増えてきた。
ロドリゲスは、オンラインに投稿された一連の発言で、それに対処しようとした。二人で徹底的に話し合い、アヤラは元カレとつき合うことに賛成してくれたと主張した。
一方、アヤラはBuzzFeed Newsに対して、そうした発言は正確ではない、ロドリゲスからは公の場でもプライベートでも謝罪を受けたことはない、と語った。
「この人から謝罪されることはないので、自分にできる最善のことは先に進むことだと気づきました」とアヤラは述べた。
ロドリゲスが状況を説明しようとして、YouTube動画を録画して公開し、その後に削除したことで、議論はさらにヒートアップした。そのためロドリゲスのファンは、数年前の出来事にもっと興味を持つようになった。
削除される前にその動画を視聴したアヤラは、ロドリゲスが「自分もこの状況で傷つけられた1人である振りをしている」と指摘した。アヤラによれば、ロドリゲスから直接謝罪されたことはまだないという(ロドリゲスは、「自分の立場を説明する」ために動画を制作した、とBuzzFeed Newsに語った)。
アヤラはこう述べる。「ロドリゲスはその話を、こんな風にしていました。『このひどい奴は、この娘たちにこんなことをした。私は馬鹿だから彼に操られていた』。私たちには謝り、今はすべて順調だ、って。でも、これは事実ではありません。ロドリゲスは私に謝っていませんでした」
後ですぐに削除された動画を視聴した後、ファンたちは、メイクの権威であるロドリゲスへの募る不満をTwitterで表明した。ある人物がツイートしたように、「被害者のトラウマをインターネット全体に曝した」ことに腹を立てていたのだ。
「私たちはこんな話を知る必要はない。私たちには関係ないことで、話すべきことではなかった。大間違いでしょ。プライベートで被害者と話しておくべきだった」と別のユーザーは書いている。
ロドリゲスは、今は削除されている動画で行った説明を補強した。ロドリゲスはBuzzFeed Newsに対して、アヤラとの関係は数年前には「順調に思えた」が、いまは「扱いにくい微妙な」状況だと述べた。
ロドリゲスはこう語った。「ここまで進んでほしくありませんでした。こんなことを曝されたくありませんでした。有名人なので、皆に何もかも知られることがどういうものかはわかっています。こんな個人的なことはインターネットに公開されるべきではないと思います。だから、動画を公開してから削除しました」
ロドリゲスは、アヤラや性的暴行を受けた他の被害者に対する17歳の時の行動については償いたいと思っている。あの出来事があってから自分は「成長した」と主張し、今になってソーシャルメディアで公につるし上げられるべきではないと考えている。
「この人たちが前に進めるよう願っています。不幸になってほしくない。私がこのクールな青年といることに夢中になっていたばっかりに傷つけてしまって、申し訳なく思っていることを知ってほしいと思います」とロドリゲスは言った。
「私は今年で21歳になります。17歳の時に自分がしたことによって記憶されたくありません」
ロドリゲスは金曜に、この件について公の謝罪ツイートをもう1件投稿した。「ここに来て、被害者だけでなくフォロワーたちにも謝罪したかった」と別のNotesアプリに書き込んだ。
ファンたちはまだロドリゲスに怒っていた。今度は、最新の謝罪にすぐに反応し、謝るべき相手はファンではないと述べた。
ファンたちは、ロドリゲスが本当に「成長」し、過去の過ちから学んだのかについて、確信が持てずにいる。ロドリゲスと、ロドリゲスのYouTubeでの野心については、もう「気持ちよく応援する気にはなれない」と言う者が多かった。
「ひとりの被害者として、この人たちが皆、Gothfruitsが本当に人を傷つけた後でもまだ彼を応援していることに、ほとほと感心する。私は、誰であれGothfruitsをまだフォローしている人をフォローすることはないと思う」と書く者もいた。
「Gothfruitsをまだフォローしている人たち……あなた達本気なの?」と別のツイートには書かれていた。
人々は現在、Milk MakeupやNyx Cosmeticsのような大手化粧品会社に、Gothfruitsと協力しないと約束するよう呼びかけている。こうした会社は、GothfruitsがマネタイズしていたYouTube動画のスポンサーを務めたり、Gothfruitsに製品を送ったりしていた。
Milk Makeupの広報担当者はBuzzFeed Newsに対して、ソーシャルチャンネルとメーリングリストからGothfruitsのコンテンツをすぐに削除すると語った。
「私たちは、虐待や性的暴行、被害者叩きに断固反対し、こうした問題を非常に真剣に受け止めています」。広報担当者はメールでそう述べ、Rodriguezの管理チームと、この決定について話し合ったと付け加えた。
BuzzFeed Newsは、Nyx Cosmeticsにも接触した。
アヤラは、思春期時代の元親友とともに、またしてもドラマに巻き込まれた格好になったが、今回のことに「責任」を感じているので、自分の身に起きたことについて公に話したい、とBuzzFeed Newsに語った。
性的暴行を受けたことについて、アヤラは次のように述べた。「人生が台無しになりました。でも、こうした問題はひどいものだと人々が理解するように、それについて率直に話すのは私の責任です。こうした状況では、サバイバーが前進することが大事です。人から信じてもらえる、と信じることが本当に大切。人々はあなたをサポートしてくれるでしょう」
「私は暴行されました――ひどい話です。でも、12年間親友だったのに……そのことの方が辛かった。それで当初の状況が悪化しました。親友を失ったことが本当に辛かった」
アヤラは、元友人が話を偽ろうとした大きな理由は、意欲的なYouTubeブランドで比較的大勢のオーディエンスを抱えていたことだとも確信している。「インフルエンサーには大勢の若いファンがいます。視聴しているオーディエンスがいるのです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan