12歳でネットで出会い、20歳で初めてリアルに会って結婚したカップルの話

「Evil Jellies」というギルドは、ユーザーが極悪な「悪人」と勇敢な「善人」に分かれてロールプレイングを楽しむものだった。このギルドの中では、クリスティンは善人、マイケルは悪人になった。この世界では、2人は敵同士だったのだ。

クリスティンとマイケル、そしてギルドのほかのメンバーは、ロールプレイングし、チャットルームやネオメールを使ってやり取りした。みんなオンラインで友だちになったが、クリスティンとマイケルは特に仲良くなった。

すぐに2人は毎日ログインするようになり、「バトル」したり、「（ギルドに関する）他愛ないロールプレイについて語り合ったり」した。2人はまだ子どもだったので、会話はそれ以上進まなかった。ネオペットでつながっていた時期は、2人は互いにユーザーネームしか知らなかった。

「長い間、（マイケルは）本名を使わず、『ドクター』で通していました」とクリスティンは笑う（「ドクター」とは、マイケルがプレイしていた悪の天才科学者のことを指していた）。

「子どもっぽい敵同士から、学校や普段の生活について話をする相手になっていきました」

「10代前半で毎日たくさん語り合うようになり、それからずいぶん経って、彼がついに自分の写真を送ってきたんです。そして、こっそり電話で話すようにもなりました」

AIMを通して、本名や住所、写真をやり取りし、現実の人間としてお互いことが少しずつわかるようになった。クリスティンはまもなく、マイケルに恋愛感情を抱くようになった。

クリスティンは、オンラインでのマイケルとの友情を、常に両親にオープンにしてきたが、マイケルの方はあまりそうではなかったという。

「彼は、もし私のことを両親に言ったら、『知らない人とオンラインで話してはいけない』と言われると心配していたんです」

マイケルとの関係が長く続き結婚に結びついたのは、子どものころからコミュニケーションの取り方を学んだおかげだ、とクリスティンは述べる。

「子どものころからインターネットで誰かと話をしていたので、コミュニケーションのやり方が身についたのです。そうでなければ、友だちはできません」

「本物の友だちをつくれるし、本物の人間関係を持てるんです」とクリスティンは言う。

9月に、クリスティンは脊椎の手術を受けた。自宅に「こもって」療養していた彼女は、再びネオペットに登録した。今は、ネオペットの大人のユーザーのコミュニティに参加している。

「大人たちが子どもに返って無邪気にプレイするのを見るのは、とてもほほえましいものです」とクリスティンは語った。