「その髪はプロとして相応しくない」 ニュースキャスターの解雇をめぐって波紋が広がる

    ブリタニー・ノーブル-ジョーンズさんは上司にそう言われ、後にテレビ局から解雇された。

    米ミシシッピ州ジャクソンのテレビ局WJTVでニュース・キャスターを務めていたブリタニー・ノーブル-ジョーンズさんは、テレビに出演するのはやめるべきだと男性上司から言われた。

    上司の理由は、持って生まれた自然な髪ではプロとして相応しくないからだった。上司は、男性の自分が野球帽を被って仕事しているようなものだと言ったという。

    (訳注:アフリカ系の人の髪質は、そのまま自然に伸ばすと強いウェーブが出てしまうため、英米での女性の場合は特に、ヘアエクステンションを付けるなどして直毛にする必要に迫られる人が多い)

    ノーブル-ジョーンズさんは、2015年にWJTVで朝のニュース番組のキャスターとして働き始め、同年には「全米黒人ジャーナリスト協会(NABJ)」の新人ジャーナリスト賞を受賞している。

    ノーブル-ジョーンズさんは、BuzzFeed Newsが展開している朝のニュース番組「AM2DM」に出演し、以前はキャスターとしてカメラの前に立つ時に髪をストレートにセットしていたと話した。しかし2016年10月に息子を出産して以来、実用性と個人的な理由から、髪型を変えることにしたのだという。

    1つには、毎日髪の毛をストレートにするにはとても時間がかかることや、新米ママだったこともあった。しかし別の理由もあった。自分の子どもにとって、模範でありたいと思ったのだ。

    「妊娠中、ずっと考えていました。『私自身が自分の髪を気に入っていないのに、一体どうやって子どもに自分の髪を好きになるように教えられるの?』って」とノーブル-ジョーンズさんは話す。

    TV anchor @noblejonesontv shares why she decided to start wearing her natural hair at work — and what happened when she did

    AM2DMのツイート「TVキャスターの@noblejonesontv (ノーブル-ジョーンズさん)が、自分の髪質そのままの髪で仕事をする決意をした経緯とその後についてお話しします」

    ノーブル-ジョーンズさんによると、テレビ局の上司は自然な髪のままでいいと一度は言ったと明かす。しかし約1カ月後に上司は考えを変えたのだとノーブル-ジョーンズさんは説明した。

    さらに上司から「野球帽を被って食料品店に行く」のと同じで、「視聴者は、美人コンテストの勝者のような女性を見たかったんだぞ」という主張も。

    ノーブル-ジョーンズさんは当初、この批判を受け止めたという。というのも、「自分の髪では、美人コンテスト勝者には見えない」と思ったからだ。しかし、抵抗することにした。上司とのやり取りを一部録音したが、結局その後、その上司は退局してしまった。

    だが髪型の問題はそれで終わらなかった。ノーブル-ジョーンズさんは、政府機関の雇用機会均等委員会に、苦情を申し立てたのだ。しかし、それからしばらくして、瀕死の状態だった祖父の面倒を見るためにノーブル-ジョーンズさんは病気休暇を取った。

    その後、ノーブル-ジョーンズさんはテレビ局から解雇された。MJTV-TVとその親会社ネクスターは声明文の中で、解雇の理由は髪型ではなく欠勤だとしている。

    声明文では、こう述べられている。

    「WJTV-TVおよびネクスター・ブロードキャスティングは、いかなるハラスメント、差別、報復も一切容認しないという厳格な方針を保持しています。ジョーンズ氏の解雇が髪型によるものだという申し立ては事実無根であり、強く否定いたします」

    「ジョーンズ氏の解雇は実際のところ、度が過ぎる常習的な欠勤と、利用可能な休暇日数をすべて使い果たした後に、職場に戻って契約上の職務を全うするということをしなかったのが原因です」

    「当社が下したジョーンズ氏解雇の決定は変わりません。また同氏が現在公の場で主張している解雇理由について、当社は全面的に否定します」

    ノーブル-ジョーンズさんは1月、自分の体験をブログ「Medium」で公開した。声を上げるようになって以来、公の場でも個人的にも多くの人たちから支援の声をかけてもらっていると話す。

    ノーブル-ジョーンズさんはまた、有色人種が全米のニュース放送局からどれほど見過ごされているかという事実に光を当てたいと話す。

    「私たちジャーナリストが有色人種の話を伝える際に、直面する問題のいくらかにでも、私の髪の話が光を当てることになるのでは、と期待しています」

    インタビューの全容は動画で:

    video-player.buzzfeed.com

    この記事は英語から翻訳・編集しました。
    翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan