20年以上前からお父さんが着続けている、よそ行きのポロシャツ。
もうボロボロなのに、どうして着続けているの? 長女のR1Aさん(@922_riaru)はこれまで、お父さんにその理由を聞いたことがなかったと言います。
R1Aさんがその理由を知ったのは、今年の初め。
1月に他界した祖父の遺品の中から見つけた両親の新婚旅行のアルバムを開いてみると、そこには、あのポロシャツを着た若き日のお父さんの姿が。
そして、お父さんと色違いのシャツを着て、幸せそうな笑顔を浮かべていたのは、18年前にがんで亡くなったR1Aさんのお母さん。あのポロシャツは、二人の新婚旅行の思い出の品でした。
「何十年も同じシャツを着ているなあ、新しいものを買えばいいのになあ、と思っていたのですが、まさかこんなに思い出が詰まった服だったなんて……」
写真を見つけたときのことを、R1AさんはBuzzFeed Newsの取材にそう振り返ります。
優しいけど口下手で、仕事に真面目なお父さんに対して、社交的で温かく、お茶目だったお母さん。二人は両家がセッティングしたお見合いで出会い、何度もデートを重ねた末に結婚を決めたそう。
「新婚旅行は二人でフランスやイタリアなどをゆっくり見て回ったようです。あの写真はそうでもないですが、アルバムにあった他の写真がものすごいラブラブっぷりで、弟と二人で驚きました」
だが、家族の幸せな時間は突然、病に奪われてしまう。
R1Aさんが6歳、弟が4歳とまだ幼い子どもを残して、最愛の妻に先立たれたお父さんは、これからどうすればいいのかと毎日毎晩悩んでいたようだったと、R1Aさんは話します。
「体重も10kg近く減ってしまって……。それでも父は毎日休まず働き、休日には毎週必ず、私たちきょうだいを色々な所へ遊びに連れて行ってくれました」
「そんな父の優しさや悲しみ、苦労を考えるようになったのは最近のことで、反抗期に酷いことをしたのはごめんって思います(笑)」
今でもシャツに穴が空いたら自分で縫い直し、ちょっとしたよそ行きとして、仕事の勉強会や、親子で出かける時に着ているお父さん。
R1Aさんはポロシャツに秘められた思い出に触れたことで、少し考え方が変わったと言います。
「今まではずっと同じ服を着続ける父のことを『ダサい』なんて言って笑っていましたが、これからは大事にしていこうと思います。両親や祖父母の思い出の品も、もう絶対に捨てられないと思います」
「今度お父さんに服をプレゼントするときは、少しいいものを贈りたいです」