ソフトバンクグループの孫正義社長は12月6日午後(現地時間)、トランプ次期米大統領とトランプタワーで会談した。今後4年間で、約5兆7000億円(500億ドル)を米国内に投資し、5万人の雇用を生み出すと約束した。
45分ほどの会談後、ロビーに降りてきた二人。トランプ氏は孫社長を意気揚々と記者団に紹介した。
「レディース、アンド、ジェントルマン。日本のソフトバンクのマサだ」
「アメリカに500億ドル投資し、5万人の雇用を生むと約束してくれたよ。産業界における最も偉大な男のひとりだ」
感謝していると言って、孫社長と握手するパフォーマンスを見せた。
日経新聞によると、会談は孫氏の共通の友人を介して実現した。二人が顔を合わせるのは初めてという。
トランプ氏は上機嫌でツイートした。「日本のマサ(ソフトバンク)は500億ドルをアメリカに投資すると合意した。ビジネスそして5万人の雇用を生む......」
「われわれ(トランプ)が選挙に勝っていなかったら、こんなことはしなかっただろうとマサは言った」
10兆円ファンドから
ソフトバンクグループは10月14日、サウジアラビアの政府系投資ファンドと共同で、最大10兆円(1000億ドル)規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立すると発表している。
ウォールストリートジャーナルによると、米国への投資はこのファンドを通じて行うという。孫社長は記者団に「米国内のスタートアップ企業に投資する」と述べた。
孫社長は記者団に投資に関する資料を見せた。それはソフトバンクグループと鴻海科技集団(フォックスコン)の連名になっている。鴻海は電子機器の受託生産(EMS)の世界最大手で、Appleやソニー製品の組み立てを請け負っている。
Tモバイル統合か
だが、会談で、孫社長の頭には別の案件があったとみられる。
ソフトバンクはかつて傘下の携帯会社スプリントと同業のTモバイルUSを統合させようとした。だが2014年、寡占を懸念する規制当局が難色を示し、買収を断念した経緯がある。
だが、トランプ政権に移れば、規制について当局が方針転換する可能性もある。そうすれば、孫社長は再度、買収に乗り出せる。
トランプ氏との会談後、孫社長は記者団に対し「(トランプ氏は)規制緩和を大胆に進めるというので、大統領就任とそれに全力を傾けることをお祝いすると申し上げた。これは素晴らしい、アメリカは再び偉大になるでしょうと申し上げた」と話した。
トランプ氏のツイート後、Tモバイルの株価は3%ほど上昇した。
(ソフトバンクグループはBuzzFeedに投資をしています)