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セクハラだと問題になった翻訳機広告動画 舞台裏を俳優が説明

ウェアブル翻訳機の広告動画が路上セクハラだと炎上した後、ログバーは「全て演技」と話した。翻訳機の機能は実在するのか。なぜ性差別的な台本を作ったのか。舞台裏を俳優が説明した。

動画のタイトルは"Kisses in Tokyo"。株式会社ログバーの新しいウェアブル翻訳デバイス「ili(イリー)」の広告だ。iliに話しかけると、翻訳し直接音声にしてくれるという。英語、中国語、日本語の3言語に対応する、と説明している。

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動画では俳優ディーン・ニューコム氏が、スマホの半分もない小さい翻訳機を持ち都内を歩き回る。そして、カメラを頭につけ、路上にいる女性たちにキスしてもいいか聞き回る。

この女性にキスをしようと、ニューコム氏は直接彼女に触れるが、彼の手を振り払って逃げ去る。

ニューコム氏は2人とのキスに成功している。女性を座っていたベンチから、引っ張り立たせるシーンも。

ソーシャルメディア上ではこの動画に対し、様々な反応が見られた。「セクハラ」という批判や、新製品の紹介になぜこのような動画を作ったのかという戸惑いの声も出た。

BuzzFeed Newsはログバーにメールで取材を申し込んだ。動画の内容が実際にあったことなのか、クレームは来てないか、そしてそもそもこの高機能が存在するのかなど質問をしているが、25日現在、返信はない。

一方、ログバーの吉田卓郎CEOは、BBCの取材にメールで「全てが台本通りの演技」だと 答えている

「問題になっているこのプロモーション動画は、翻訳デバイスの有効性を紹介する意図のもと制作された」
「女性たちは全員女優であり、動画内の行動は演技であり指示された。誰一人も意志に逆らって何かを無理強いされることはない」

台本だとしたら、別の疑問が残る。翻訳デバイスの機能を紹介するのに、なぜ女性差別的な内容にしたのか。

俳優として出演したニューコム氏は、どう思っているのか。BuzzFeed Newsの取材に対し、ニューコム氏はコメントを控えたが、あるブログに投稿されているインタビューのリンクを送信してきた。

UPDATE

26日12時現在、このブログの記事は削除されているため表示できなくなっている。記事内にあった、ニューコム氏の見解は以下の通り。

「女性たちが女優だと知っていましたか?」この質問に対し、ニューコム氏は次のように答えている。



Yes I did. They were talent. Some of the scenes show a real element of surprise, because we hadn't actually met. Their agents had told them that they'd be kissed in a commercial. But because the production crew wanted to add the element of surprise in the commercial, their agencies didn't tell them who would kiss them or how it would happen, so… they didn't know exactly my approach. But they knew a kiss was involved and agreed to the job, as professional actresses. We were all on the same page.

「はい、知っていました。いくつかのシーンでは、驚いているところが映されていましたが、それは私と彼女たちが事前に会っていなかったからです。彼女たちの事務所はCMでキスされることは告知していました。しかし、制作側が驚きの要素を加えたかったため、事務所側は彼女たちに誰とどのようにキスをするのか伝えていませんでした。だから……彼女たちは私の具体的なアプローチについて知らされていませんでした。でも、彼女たちはプロの女優として、キスされるのを承知し仕事を引き受けました。全員同じ見解を持っていました」

多くの批判を受ける動画に出演した理由について問われたニューコム氏は「TVドラマの設定のようなものだった」と述べた上で、最後にこう付け加えている。

At the end of the day, it was the idea of Japanese, produced by Japanese, for a Japanese company, with Japanese staff. The only person non-Japanese was me, and I was the one who had the least idea of what was being created.

「結局のところ、日本人によるアイディアで、日本の企業のために日本人スタッフが製作した。日本人ではなかったのは、私一人だけで、何が作られているのか見当もつかなかったんです」

インタビューの最後にはニューコム氏が出演する新たな動画も紹介されている。その中で、ニューコム氏は次のように語っている。 「女の子にアプローチすることやキスすることについて考えてみたいと思います。僕が女の子にアプローチするのがタブーみたいに言われるのは、彼女らが日本人で僕が西洋人だから?じゃあもし、僕がアプローチする女の子が同じく西洋人だったら大丈夫かな?もしくは、男にアプローチするのはどう?」

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この動画も広告動画と同じく仕組まれているかどうかは不明。

UPDATE

26日12時現在、この動画は一般公開からプライベートに設定されている。

なぜ、翻訳デバイスの紹介動画が性差別的と批判される内容になったのか。動画が芝居によるものなら、翻訳デバイスの機能は本物か。ログバーからの返信はなく、明確な答えは分からなかった。

もし、動画で紹介されている機能がそのまま使えるのであれば、誰もが欲しがる翻訳機に違いない。

次の記事では「ili」の性能を紹介できるよう、BuzzFeed Japanではログバーの回答を引き続き待っている。