極貧の村で、作りものの食べ物の写真を撮影した写真家に怒りの声

    この写真シリーズは、「無神経で悪趣味」と批判されている。

    最近、国際的な写真エージェンシーのInstagramアカウントに掲載された写真シリーズが、「貧困ポルノ」の最新の例として批判されている。

    写真家アレッシオ・マモの作品は、100万人近いフォロワーを持つ「世界報道写真財団(World Press Photo, WPP)」のInstagramアカウントで紹介された。マモは、今年行われたWPPの写真展で第2位を取っていた。

    「Dreaming Food(夢のような食べ物)」と題されたこのプロジェクトは、2017年、北部インドのウッタル・プラデーシュ州とマディヤ・プラデーシュ州で撮影された。

    2008年から写真家として働いているイタリア人のマモは、主にヨーロッパの難民危機に関するテーマを撮ってきた。

    マモは写真のキャプションで、これらの写真は「インドの飢餓問題についてのコンセプト的なプロジェクト」だと説明している。

    「私は、テーブルと、作りものの食べ物を持参しました。そして人々に、テーブルに乗っていたら嬉しいと思う食べ物を思い浮かべるよう言いました」

    マモは次のように書いている。

    「このプロジェクトのアイデアは、西洋で、特にクリスマスの時期に、どれだけの食べ物が捨てられているかという統計を読んで思いついたものです」

    しかし、これを見た人々は、写真の前提を猛烈に批判した。コメントの多くは、これらの写真を発表したWPPの決定に向けられていた。

    多くの人は、この設定が信じられないほど搾取的だと感じた。

    ネットではたくさんの人が、これらの写真とそのコンセプトは、大いに敬意を欠いており、動揺させるものだ、とコメントしている。

    WPPはBuzzFeed Newsに対し、自分たちは「写真家のためのプラットフォームであり、作品を出版しているわけではありません」と語り、それ以上については、ブログサービス「Medium」に掲載された声明を見るようにと促した。

    WPPによると、マモは、イラクの地雷で負傷した11歳の少女を撮影した「Manal」で2位を受賞したため、WPPのInstagramアカウントを使って作品を発表する機会が与えられたという。

    WPPは声明で、Instagramアカウントを使う写真家に対しては「ガイドライン」を設定していると述べている。マモは、2018年7月16日~7月22日にアカウントを使用していた。

    声明には、「写真家は、どの作品を公開するかの選択と、その作品につけるキャプションに対して責任を負っています」と書かれている。「何よりも、われわれは写真家に対して、彼らが何をどのように、なぜやっているのかが、すべての人にわかるようにするよう依頼しています」

    声明はさらに、「Manal」を除けば、アカウントで紹介された写真のどれも、WPPのコンテストに出品されたことはなかった、と続けている。「われわれはプラットフォームであるため、規定のガイドラインを越えて、写真家の選択を制限することはありません。写真家には、写真を見た人から質問があったときは直接回答するよう依頼しています」

    写真の下のコメント欄で、マモ自身が批判に回答している。

    別の回答でマモは、彼の「コンセプト的なプロジェクト」は、西洋における食品の無駄を批判する目的だったと説明した。「ステレオタイプな形で」インドの風景を表現することで、その概念を強めたかったのだという。

    「それが、この作品に込められた思いです。ぼくのやり方が間違っていたのかもしれないし、単にこの写真が好きではないとか、非道徳的だと思われているだけかもしれません」と彼は書いている。「自分のフォトジャーナリスト的なプロジェクトや取り組みでは、ぼくはいつも、ステレオタイプを壊そうとしながら、自分が今いる社会のことを間違って伝えないように注意し、その社会の人々と関わるようにしています」

    のちに、批判にこたえる形でマモはこう語っている。「ぼくは人間だから、間違うこともあります。この写真を不快に感じたり、傷つけられたと感じたりした人には、心からお詫びしたいと思います。そして、ぼくが撮影をした人たちにも」

    Medium上の声明の中で、彼は、「西洋の人たちに対して、挑発的な形で、食品の無駄について考えてもらいたかっただけです」と書いた。

    「そういう効果はまったくなかったかもしれません。やり方を間違えたのかもしれない。でもぼくは、この写真に関わったすべての人に対して、敬意を持って真摯に仕事をしていました」

    彼は続けて、このプロジェクトに関わった人々の名誉を傷つける意図は決してなく、被写体になる人たちが、評判の高いNGOと一緒に、気持ち良く写真を撮られるようにした、と述べている。

    「ぼくはいつも、自分の作品への批評に対してオープンです。でも、ここ何日かでぼくに向けられたコメントのような憎しみを感じたのは、生まれて初めてです」

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan