LBGTIに関する授業 スコットランドが世界で初めて義務化

    新しいカリキュラムでは学校現場で起こる、いじめ、差別、偏見について取り上げる。

    スコットランドはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)にまつわる諸問題を扱う授業を、世界で初めて必修とする国となる。

    スコットランド自治政府が、LGBTI教育を2021年までに全ての公立学校に対し義務付けるよう求める提言の受け入れを決定したからだ。

    「スコットランドの教育システムは、あらゆる生徒の支えとなり、それぞれの潜在能力を完全に発揮できるよう育てるものでなくてはなりません」と自治政府のジョン・スウィニー副首相は声明の中で述べた。

    「ですからカリキュラムは、学校で学ぶ若者たちと同様、多様性に満ちたものでなければならないのです」

    LBGTIを社会的に受け入れるための教育を目指すワーキンググループが出した、33の勧告が、議会で全て可決された。提言内容は、教育現場でのいじめ、差別、偏見に対処することを目的としている。

    2016年に、LGBT団体「Time for Inclusive Education Campaign (TIE)」が出した報告書によると、スコットランドで暮らすLGBTの人々の90%が「同性愛や両性愛、性同一性障害などに対する嫌がらせ」を経験しており、27%がいじめられて自殺を図ったことがあるという。TIEは自治政府とLGBT問題を解決するために綿密に連携してきた。

    カリキュラムには、様々な性的アイデンティティーや用語、LGBTI運動の歴史、同性愛や両性愛・性同一性障害に対する嫌がらせについて、またその対処法といった題材が含まれることになる。さらに、性的マイノリティーを認知して尊重する気持ちや、プライバシーを尊重するといった問題も扱われるという。

    LGBT団体TIEは11月8日、Twitterで勝利宣言を出し、「我々は目標を達成した!」とツイートした。

    We did it! @JohnSwinney has announced that @scotgov has fully accepted the recommendations of the LGBTI Inclusive Education Working Group. This is a monumental victory. LGBTI-inclusive education will now become a reality in all of Scotland’s state schools #EducatetoLiberate https://t.co/sLgYikCANw

    慈善団体「LGBT Youth Scotland」のファーガス・マクミラン会長は、この決定を高く評価した。

    「今回の勧告が実施されることで、スコットランドには新たに優れた実績を積み重ねるという、素晴らしいチャンスが生まれました。LGBTIの若者が潜在能力をフルに発揮して成長するには、スコットランドが最適な場所であることを確かなものにするというチャンスです」

    「LGBT Youth Scotland」も、LBGTIを社会的に受け入れるための教育を目指すワーキンググループに参加していた。

    今回の勝利の前に、スコットランド議会はTIEが2016年に出した請願書を否決している。その時点では、議会が地方自治体にLGBTIにまつわる諸問題を授業で扱うよう「強制」することはできないとの結論だった。

    スコットランドは近年、LGBTIに対する法的保護が手厚いことで有名になっている。スコットランド労働党の前党首ケジア・ダグデールは、2016年に「世界で最も議会がゲイ指向な」国だと表現した。

    今回の勧告が受け入れられたのは、公権力が「同性愛を促進」するのを禁じる法律が廃止されてから、17年後となる。地方自治体法28条(通称セクション28)が1980年代のエイズ危機を受けて成立し、多数の教師が授業で同性愛について扱うのを恐れるようになった

    「きわめて多くの教師がセクション28の下で研修を受け、それ以降再研修は行われていません」とLGBT団体TIEの共同創設者ジョーダン・デイリーはグラスゴー大学の学生会が発行するqmunicate magazineの取材で、2016年に語っている。

    「教師たちは同性愛や両性愛・トランスジェンダーについて授業で取り扱うよう求められたら、戸惑うでしょうね。その点を政府は忘れており、時として教師側も生徒たち同様、問題を起こす種となり得るのです」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。