大リーグ機構(MLB)は1月29日、クリーブランド・インディアンスが、侮蔑的であるとしてこれまで論争の的になってきたマスコット「ワフー酋長」のロゴを2019年のシーズン以降ユニフォームから外すことを決めたと発表した。
MLBはプレスリリースの中で、今回の決定はMLBと球団双方の合意によるものであり、「今後の適切なスケジュールと対処をともに検討してきた」結果であると述べた。
これまで賛否が論争になってきた同球団のマスコットは1947年から使用されており、赤い肌に大きな歯を見せたネイティブアメリカン(米先住民)を戯画化したデザイン。
MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、このロゴについて「球場内で使用するのはもはやふさわしくない」と述べた。
球団の正式なロゴは2014年、クリーブランドの頭文字である大きな「C」の文字に変更されているが、ワフー酋長はその後もユニフォームやキャップ、球団グッズに使用されてきた。
MLBによると、球団の地元であるオハイオ州北東部と春季キャンプ地のアリゾナ州グッドイヤーでは、ワフー酋長のロゴを使った一定のグッズ販売を続ける。これにより、球団はロゴの商標権を維持することができる。
これについて、球団は公式ページに掲載した今回の決定に関するQ&Aで「ユニフォームからロゴを外す方針でMLBと合意しましたが、球団としては多くのファンのみなさんがワフー酋長に抱いている愛着も理解しており、グッズの形で引き続きそのつながりを維持していきます」と説明する。
2019年からのロゴ廃止は、同年のオールスターゲーム開催地がクリーブランドに決定したことと重なるが、球団はこの2点について「まったく関連はない」としている。
球団はQ&Aの中で次のように続ける。「オールスターゲーム開催地への立候補は、2016年のワールドシリーズ出場時にロゴをめぐる議論が全米で注目された時期より前に行われています。インディアンスが開催地に選出されたのは、招致計画の内容と、大リーグの年に一度の真夏の祭典を最高のゲームにするために必要な組織とコミュニティとしての実行力を評価されたためです」
ワフー酋長のロゴは長年議論の的になってきたが、インディアンスが19年ぶりにワールドシリーズ出場を決めた2016年、先住民族を戯画化したロゴの使用禁止を求める訴えが起こされ、全米の注目が集まっていた。
「人種差別的なのです。すべてはそこに行きつきます」。当時訴えを起こした、カナダ先住民族の血を引く活動家のダグラス・カーディナル氏は、2016年のワールドシリーズ前、ニューヨーク・タイムズ紙にこう語っている。「われわれ先住民族を自分たちより下にみなし、戯画化して描くこうしたとらえかたには、直接的な関連性があります。これは間違いであり、やめるべきなのです」