マエデ・ホジャブリは、イラン在住の18歳。欧米や自国のポップソングに合わせて魅力的なダンスを披露し、Instagramで数十万のフォロワーを獲得していた。
AP通信によれば、ホジャブリを含め、Instagramで人気を集めていた少なくとも4人が、この数週間にイラン政府によって身柄を拘束されたという。ほかの3人の身元は確認されていないが、すでに全員が保釈されている。
ホジャブリは7月6日、国営テレビのある番組でコメントを発表した。道徳的規範に反することはわかっていたが、規範に反したいと思っていたわけではなく、ただフォロワーを増やしたかっただけだという内容だ。
イランはイスラム教シーア派を国教とする「イスラム共和国」だ。国家の最高指導者は宗教指導者で、イスラムの名の下に、各種の法や制度が施行されている。この国で「道徳的規範に反する」という行為は、イスラムに反することと理解されかねない。だから、こういう言い方をしたのだ。
「ガーディアン」紙の記事に掲載された翻訳によれば、ホジャブリは「注目を集めることが目的ではありませんでした」と述べている。「私にはフォロワーがいました。動画は彼らのために投稿したものです。人々に同じことをするよう勧める意図はありませんでした…協力者はいませんでしたし、ダンスの訓練も受けていません。ただ体操をしたことがあるだけです」
この発言が強要されたものかどうかはわかっていない。
ガーディアン紙の報道によれば、ホジャブリのInstagramアカウントは60万以上のフォロワーを獲得していたが、今は削除されているという。しかし8日夜の時点で、ホジャブリの動画は複数のソーシャルメディア上に残されていた。
ホジャブリは動画の中で、踊ったり、口パクをしたり、友人たちと一緒に過ごしたりしている。多くの場合、頭にはスカーフを巻いていない。
イランは1979年、王政からイスラム共和国になった。その際、女性は肌の露出を禁止され、頭を覆うスカーフの着用が義務づけられた。同時に、女性は近親者を除き、男性の前で踊ることを禁止された。
AP通信によれば、イラン当局は、ホジャブリが持っていたようなInstagramアカウントの停止を計画している。さらに、Instagramそのものへのアクセス禁止も検討しているという。イランはすでに、FacebookやYouTubeのほか、メッセージアプリ「Telegram」をブロックしている。ただし、いまだに数百万人がプロキシ経由でこれらのサイトを利用している。
イランでは2014年、ファレル・ウィリアムスの歌「ハッピー」に合わせてダンスする動画を投稿した6人の若い男女が有罪判決を受けた。2017年にも、ヒジャブと呼ばれるヘッドスカーフを身に着けずにズンバ(フィットネス・ダンスの一種)を教えた6人が逮捕されている。