死んだ子どもを悼む母親シャチ、亡骸を17日間運んだのちにようやく葬る

    「悲しみの旅は終わりました。母親は非常に元気です」と、クジラ研究センターは伝えた。

    7月下旬、死んだ子どもを悼むシャチの姿が世界からの注目を集めた。なぜなら、そのシャチが鼻先に亡骸を乗せて運び始めたから。

    J35、もしくは「タレクゥア」という名前で呼ばれている母親のシャチは、亡骸とともに17日間、1600キロ以上泳いだ。その後、腐敗が始まった亡骸を水の中に沈めたと、クジラ研究センターが8月10日に出した声明の中で発表した。

    悲しいニュースのあと、亡骸を葬った後のタレクゥアは健康で、仲間のシャチとともに鮭の群れを追いかけている様子が確認された。

    「悲しみの旅は終わりました。母親は非常に元気です」とクジラ研究センターは伝えている。

    子どもは7月24日に生まれた後、すぐに死んでしまった。クジラ研究センターは、その時の赤ちゃんの死体についてこう表現する。

    「波の荒い海に沈みそうになっては、何度もおでこで押して支える母親によって連れ戻されていました」

    研究者は、タレクゥアのシャチの家族が「さまざまな方法でタレクゥアを支えているようだ」とこの悲しい旅に関してFacebookで投稿。死体を運んでいる母クジラに仲間が「餌を分けていた」可能性があると伝えた

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    子どもの死体は、バンクーバーを囲む内海でワシントン州の北西に位置するセイリッシュ海のどこかで沈められたという。しかし、具体的にどこで沈められたかがわからないため、研究者が調査をすることはできない。

    クジラ研究センターによると、このエリアのシャチの個体群は「サザンレジデント・キラーホエールズ(Southern Resident Killer Whales、SRKW)」として知られるが、過去3年の間、生存能力のある子どもは生まれていない。過去20年では75%の確率で生まれた子どもが死んでしまっている。

    シャチは今、キングサーモンの減少に苦しんでいる。キングサーモンも、キングサーモンを捕食する海の哺乳類とともに危機に瀕しているとして登録されているのだ。

    クジラ研究センターの創設者、ケン・バルクーム氏は「J35の物語は、アメリカとカナダが野生のサーモンを回復する努力を一層強めなければいけないという、大きな環境問題を反映しています。このシャチの子、そして過去3年間に妊娠した子どもの100%が、生存能力を持てませんでした。それは、母親が十分な食べ物を取れなかったからなのです」とFaebookに投稿している。


    この記事は英語から翻訳されました。
    翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan