韓国代表のエースが臨んだ選手生命を賭けた1戦 負ければ2年間の兵役が待っていた

    アジア大会での優勝は韓国代表にとっても、あまりに大きな一勝だった。

    イングランド・プレミアリーグのトッテナムでプレイするソン・フンミン。

    サッカーファンなら、ロシアW杯のグループリーグ第3戦でドイツ相手に決めたダメ押しゴールを覚えている人もいるかもしれない。

    W杯が終わってもうすぐ2ヶ月。これまで臨んできたどんな試合よりも大事な試合を彼は控えていた。

    ソン・フンミンは現在26歳。8月18日〜9月2日で開催されたアジア大会が21ヶ月の兵役免除を獲得できる最後のチャンスだった。もしも負ければ、彼は2年近くサッカーの表舞台から遠ざからなくてはならない。

    韓国では、ほぼすべての男性に21ヶ月の兵役が法律によって課せられている。この兵役免除は極めて異例で、ときおり韓国国内で議論を巻き起こしている。

    例えば、「江南スタイル」でヒットしたPsyは過去に兵役逃れを指摘され、再入隊した過去を持つ。また日本でもプレイしたプロ野球選手のペク・チャスンは兵役を履行する前にアメリカ国籍を取得し、韓国国籍を放棄。兵役を逃れることはできたが、いまも韓国への入国は禁止されている。

    プロスポーツ選手は、一部の例外がありながらもオリンピックでメダルを獲得するか、アジアの大会で優勝すれば兵役を免除される決まりだ。
    (2002年の日韓W杯で、イタリアとスペインを打ち破り準決勝進出を果たしたサッカー韓国代表のメンバーは、例外的に兵役を免除された。)

    つまり、彼らにとってアジア大会決勝戦はまさに「負けられない戦い」だった。

    ウズベキスタンをアディショナルタイムで下した試合では、ソン・フンミンはペナルティーキックを直視することすらできなかった。

    ACTUALIZACIÓN 🚨 Penalti al minuto 118. Uzbekistán 🇺🇿 vs Corea del Sur 🇰🇷. Cuartos de Final Juegos Asiáticos. Heung Min Son decide ni siquiera ver la ejecución. Si no gana dicho torneo tendrá que regresar a su país para cumplir con el servicio militar obligatorio. https://t.co/UZIulhX6yf

    皮肉にも、彼はヨーロッパでの成功と引き換えに兵役免除のチャンスを2度逃している。

    実は彼にとって兵役免除のチャンスは過去にもあった。4年前、前回のアジア大会で韓国代表は見事優勝し、当時の代表選手たちは兵役免除を獲得している。しかし、所属していたドイツ・ブンデスリーガのレバークーゼンは彼を代表チームへ派遣することを拒み、アジア大会への出場は叶わなかった。

    さらに2012年のロンドンオリンピックで韓国代表が銅メダルを獲得した際には代表に召集されておらず、ハンブルグSGに所属していた彼はドイツから仲間の兵役免除の獲得を見守っていた。

    現在の所属チームであるトッテナムは、過去3シーズンで47ゴールを決めてきた主力を失わないために、彼をアジア大会の舞台へと送り出した。

    🇰🇷 Congratulations Sonny - #AsianGames2018 finalist! 👏

    チームの公式Twitterも韓国代表の決勝進出を祝福。

    今回のアジア大会への参加を、早い時期から表明していたソン・フンミン。オーバーエイジ枠で召集され、今大会ではキャプテンマークを巻いてチームを牽引するプレイを見せた。

    決勝の相手は日本代表。試合は9月1日、ジャカルタで行われた。

    先制点を決めたのは韓国代表だった。

    アジア大会で優勝した韓国代表。この勝利によって、ソン・フンミンは悲願の兵役免除を手にした。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:千葉雄登