ブラジルのアマゾン熱帯雨林で大規模火災が続く中、フランス・ビアリッツで主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催された。会議の結果、消火活動のためG7各国から合計2200万ドル(約23億2700万円)の資金を提供する合意に至ったが、ブラジル政府はこれを拒否する意向を示した。
ブラジル国内のアマゾン川流域にある熱帯雨林では、今年に入ってから8万件以上の火災が確認されている。ブラジルの宇宙開発機関INPEによると、火災件数は去年の同時期よりも約80%増となった。
世界最大規模の経済力を誇るG7サミットの開催国となったフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この森林火災を国際的な危機とみなし、空中消火用の飛行機などに充てるための支援金を提供すると表明した。
しかしブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領はG7の支援を受けない意向だ。支援金は「ヨーロッパの森林再生に使うべき」だと話しているとロレンゾニ首席補佐官が明かした。
なぜG7の支援を拒否?
消火活動に消極的だと国際社会から批判を受けているボルソナロ大統領に向けて、マクロン大統領はコメントした。
「アマゾン熱帯雨林は地球全体にとって重要だ。我々は森林再生活動を支援できる。自然のバランスを尊重した経済発展のための手段を考えることもできる。だがブラジル政府が全てを破壊するのは見過ごせない」
これに対しボルソナロ大統領がツイッターで反応。フランスやその他のヨーロッパ諸国がブラジルを植民地のように扱っていると責めた。
8月26日に投稿されたツイートには、「あらゆる国の主権を尊重することは、この文明世界では最低限求められることだ」と書かれている。
またAP通信によると、ボルソナロ大統領は、マクロン大統領が「侮辱」を撤回するならば支援金を受け取ると話した。
フランスに対して皮肉も
ニュースサイトG1の取材に対してロレンゾニ首席補佐官は、G7からの提案を嘲笑し「マクロン大統領はノートルダム大聖堂の火災対策に集中するべきだ」と皮肉的に語った。
「世界遺産の教会で予測可能だった火災を防ぐことすらできなかったのに、何を我々に教えようと言うのか?自国と他のフランス領地のことで手一杯なはずだ」
ブラジル・フランス両国首脳の関係は冷え切っている。ボルソナロ大統領は公式Facebookで、ブリジット・マクロン仏大統領夫人をからかうような投稿をした。
マクロン大統領はこの投稿を「信じられないほど失礼なコメント」だとし、「ボルソナロ大統領にとってもブラジル国民にとっても悲しい」と話した。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子