反トランプデモ 人々があきらめずに訴える思い

    トランプ氏の勝利後、デモに参加する理由とは。

    11月9日夜(現地時間)、数千人がニューヨークに集まり、ドナルド・トランプ氏に抗議するデモ行進をした。

    9日夕方、セントラルパーク南西・コロンバスサークルに集まっていたのは数百人。トランプ氏の住居がある「トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー(トランプタワー)」をめがけて行進しているうちに、数千人規模に増えていった。

    「ドナルド・トランプ出て行け!レイシスト(人種差別主義者)、セクシスト(性差別主義者)、アンチゲイ(反同性愛主義者)!」

    デモの参加者はコロンバスサークルで叫ぶ。

    「プッシーがつかみ返す(pussy grabs back)!」

    過去に「プッシー(女性器を指す俗語)をつかめ。何だってできる」と発言したトランプ氏。この発言に対抗して、女性たちが作ったスローガンだ。

    「ドナルド・トランプは嘘ばかり言っている。大統領になれない」

    デモ行進のイベントを企画したLatchmi Gopalさんは、大統領選の結果が出る前から計画していたと話す。

    「このデモは、クリントンとトランプだけのためではない」とBuzzFeed Newsの取材に答える。「有色人種、移民、そして女性たちのコミュニティを抑圧するシステムに対抗している」

    デモの目的は、沈黙させられてきた声を上げ、愛があり責任も持ち合わせる場をつくることだという。

    「やらなきゃいけないことが、たくさんある」。少数派の権利について、こう語る。

    「今では、さらに増えた」

    デモ参加者の多くは、2016年の大統領選が与える影響は数百年にわたり続く、とBuzzFeed Newsに語る。

    Eleen Liuさんは、ニューヨーク州にあるフォーダム大学の学生。トランプ氏の政策が移民者のために何を意味するのか、悲嘆に暮れて怯えているという。

    「アメリカはこうあるべきじゃない」

    しかしLiuさんは、共に嘆き悲しむデモ参加者の存在に慰められ、希望を抱いていると付け加えた。

    バード大学の学生Acacia Nunesさんも、投票の結果にひどくショックを受け、嘆いている人々とつながりを感じたくデモに参加した。

    「有色人種の女として、トランプが大統領になるのは安心できない」。Nunesさんは、こう話す。「私は、トランプが言う優先すべき対象に入っていない。こんな明らかな恐怖感は語りきれない」

    デモの参加者は「私の大統領じゃない」というフレーズを、行進しながら何度も唱えた。このフレーズが書かれたカードを掲げて歩く人も多く見られた。

    「トランプは、私たちに必要な存在としてコミュニティを代弁できていない」とGopalさん。

    「だから、今の段階ではこう言う。違う、私の大統領じゃない」

    Nunesさんと一緒にデモに参加したMya Gelberさんは、投票結果は、女性がどのように扱われているのか認識できるもので、アメリカにとっての注意喚起だと話す。

    「2016年は、女性を選ぶことができなかった」

    「クリントンが"ガラスの天井"を砕く、大切な日になるはずだった。他の国では、女性のリーダーがたくさんいる。アメリカで問題になっているのは、おかしい」

    「信じられない」「悲嘆に暮れている」「ショックを受けている」ーーデモの参加者は投票結果に、このように反応している。

    Georgina Simonさんは、共和党支持者にとっても、2008年や2012年の大統領選と今回は違うだろう、とBuzzFeed Newsに話す。トランプ氏の政策が、憎しみをベースに作られているからだという。

    「一番懸念しているのは、人々が宗教や人種が原因で、国外退去しなければいけなくなること。アメリカを再び偉大な国にはしないだろう」

    KatieさんとMaraさんは、デモ集会に子どもを連れてきた。

    「この選挙の重大さを、子どもたちに伝えていた。初の女性大統領を選ぶ大切さも」

    トランプ氏が選挙運動の間に見せたいじめや性差別的な言動を、子どもたちに語ったという。また、7歳の子どもたちに、大人は絶対トランプ氏のように振舞ってはいけないと教えたと話す。

    Katieさんは投票日の次の朝、綺麗事を並べずに結果を子どもたちに伝えたという。「娘は、結果は憎しみの勝利で、受け入れられるべきものじゃないと理解していた」

    二人は、似た感情を抱く人々が自分のコミュニティに多くいることを見せるために、子どもたちをデモに連れてきた。

    「子どもたちに、はっきりと主張しても大丈夫なんだと知ってほしかった。トランプが大統領になるからって、私たちが憎しみを受け入れる必要はない」