セキュリティのためなら仕方ない? テイラー・スウィフトのライブで知らぬ間に顔認証システムが使われていた

    セキュリティとプライバシーの狭間で。

    テイラー・スウィフトの警備チームは、コンサート会場のグッズ売り場に顔認証システムの導入をしたと言われている。顔認証システムを導入することで、ストーカーなど悪質な行為を行うリスクのあるファンを特定することが狙いだ。

    ローリングストーン誌は12月12日、この顔認証システムはすでに一部のライブ会場で試験的に導入されており、ファンの顔がこっそりスキャンされていたと報じた。スキャンされた画像データは、その後ナッシュビルにある管理センターへと送られ、テイラー・スウィフトの悪質なファンがまとめられたリストと照合されていたという。

    オーク・ビューグループのCSO(最高セキュリティ責任者)のマイク・ダウニングはローリングストーン誌に対して「グッズ売り場で立ち止まってそのカメラを凝視した瞬間には、すでに顔をスキャンされていたことになります」と語っている。

    BuzzFeed Newsはテイラー・スウィフトそしてオーク・ビューグループに対してコメントを求めたが今のところ回答は入手できていない。これまでにこうした技術は日本など数カ所のライブ開催地で使用されてきた。しかし、個人情報の悪用を恐る人々はこのニュースがはらんでいるリスクに危機感を抱いている。

    2017年のアリアナ・グランデのコンサートを襲ったテロ事件をはじめ著名人のイベントは常にリスクと隣り合わせだ。こうした危険に対応するために、今回のグッズ売り場における防犯対策も生まれている。

    現在、こうして撮影された写真のデータはどこでどのように保管されるのか明らかとなっていない。ヒューマンライツウォッチのサラ・ビンセントはこの点を問題視し、「こうしたプライバシーに関わるデータは目的に沿った利用のみに厳格に定められるべきです」とコメントしている

    こうしたセキュリティ対策で入手されたデータがより大きな利益を生み出すために利用されるリスクにも彼女は懸念を示す。こうした個人情報は企業にとって、誰がテイラー・スウィフトのライブに参加し、何を食べ、何を飲んだのかを知る材料となり得る。

    セキュリティとプライバシーの間にあるこうしたグレーゾーンには、特にルールも設けられていないのが現状だ。ライブへの参加は非常にプライベートな行為だが、ここで様々なデータを得ていることを企業は明らかにしていない。

    アメリカ自由人権協会の重役、ジェイ・スタンレーはこの件を取り締まることの難しさを以下のように説明した。

    「そこで得たデータをあくまで私有財産制度の範囲内で使用する限り、彼らがあなたの写真を撮影し、それらを用いて様々な分析を行うことは誰も止めることはできません」


    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:千葉雄登