【ダッカ人質事件】関与をアピールするIS バングラデシュでの活動実態は

    機関誌でも多くのページを費やした

    バングラデシュの首都ダッカで7月1日に発生した人質事件。イスラム国(IS)を名乗る組織が犯行声明を出したが、政府はISの関与を否定している。バングラデシュでの活動強化をアピールするISの実態は。

    ISのネット機関誌「ダービク(Dabiq)」。カラー写真を豊富に配置し、編集されたPDFのプロパガンダ雑誌だ。

    英語版の「ダービク」14号では、バングラデシュでの活動について、多くのページが費やされている。

    まず、シリア北部での戦闘中に死亡したAbu Jandal al-Bangaliという、若いバングラデシュ人の戦闘員が特集されている。

    首都ダッカの裕福な家庭の生まれで、軍とつながりを持っていた。シリアでのトレーニングに参加した後、 殉教作戦に志願したという。

    また、バングラデシュでのISのリーダーであるSheikh Abu Ibrahim al-Hanifのインタビューもある。

    Abu Ibrahimは、ミャンマーのイスラム教徒は、周辺の仏教徒やヒンドゥー教徒からの弾圧の下で暮らしていると述べ、ミャンマーの前に、バングラデシュ内でのジハードを強化したいと話している。

    そして、「大量のヒンドゥー教徒を標的にするまで、この地方におけるシャリーアは達成されないと信じている」とも語っている。

    また、Abu Ibrahimは、バングラデシュ最大のイスラム政党であるイスラム協会(Jamaat-e-Islami)を批判している。2001〜2006年までの政権当時、「アッラーの法」を適用しなかったことを、その理由の一つとしている。

    Abu Ibrahimは、地理的な位置と、インドへの近さから、バングラデシュはグローバルなジハードのために重要な場所であるとしている。

    ベンガル地方に強いジハード基盤を持つことで、インドへのゲリラ攻撃を、国内外の両方から同時に行うことができる、と述べている。

    昨年10月、ダッカでのイスラム教シーア派の休日パレードの際に、3発の爆弾が旧市街で爆発し、死者1人と負傷者100人以上を出した。バングラデシュで、シーア派が標的にされたのは、この時が初めてだった。

    この爆発事件の前、ダッカの外交地区でイタリア人男性が、また、バングラデシュ北西部で日本人男性が殺害されている。

    ISは、爆発事件と、外国籍2人の殺害ついて犯行声明を出し、「十字軍連合の市民たち」はイスラムの地では安全の保証はない、としている。

    ISは今年2月、バングラデシュ北部の寺院で斬首されたヒンドゥー教の司祭の殺害事件についても、関与を発表している。

    バングラデシュでは、昨年からイスラム原理主義に批判的なブロガーが殺害される事件が相次いで起きている。

    バングラデシュ政府は、国内でISは活動していないと、繰り返し述べてきた。しかし警察は昨年、ブロガー殺害にも関与しているとされ、アルカイダとISの双方とつながりがあるといわれる「Ansarullah Bangla Team」のシンパとみられる3人を拘束した模様だ。