8月6日、広島。「はだしのゲン」の原画が、原爆の悲劇を語りかけてくる

    「おこったことをありのまま、フィルムのように脳裏に焼き付けました」

    漫画「はだしのゲン」。原爆投下前後の広島を生きる少年の物語は、当時6歳だった作者、故中沢啓治さんの体験がもとになっている。

    1945年8月6日。人類史上初めて、原子爆弾が広島に投下された。

    爆風。

    原子雲。

    一瞬にして、広島は死の空間となった。

    街は炎に包まれた。生きながら焼かれて、亡くなった人もいた。

    瓦礫だらけの街を逃げまどう人たち。熱風で皮膚は焼かれ、垂れ下がった。

    やけどと夏の暑さで、多くの人が水をもとめて川に飛びこんだ。泳ぎきることができず、亡くなった人もいた。

    広島市によると、1945年12月末までに、約14万人が死亡したと推計されるという。

    「はだしのゲン」の描写について、中沢さんは著書でこのように語っている。

    六歳だったぼくは、おこったことをありのまま、フィルムのように脳裏に焼き付けました。小学一年で被爆したことが『はだしのゲン』を産んだのだと思います。

    記事作成にあたり、ご協力いただいた中沢さんの妻・ミサヨさんは「原爆を受けたらこんな姿になるんだ、苦しみを味わうんだ、ということを読者に知ってもらいたい」と話していました。

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