1月27日の国際ホロコースト記念日(ホロコースト犠牲者を想起する国際デー)に先立って、ポーランドがイスラエルを激怒させた。ポーランド下院が、ホロコーストに関して同国を責める行為を犯罪とする法案を採択したのだ。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は1月28日、閣僚に向けた発言のなかで、「いかなることがあろうと、われわれは歴史を書き変えようとする行為を認めるわけにはいきません」と述べた。合わせてポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相に電話を入れ、この法案に異議を申し立てた。
ポーランドのモラヴィエツキ首相はこの法案を擁護して、こうツイートした。「アウシュヴィッツはポーランド名ではありませんし(ポーランド語での地名はオシフィエンチム)、『アルバイト・マハト・フライ』もポーランド語ではありません」。アルバイト・マハト・フライとは、アウシュヴィッツ強制収容所の門に掲げられた標語であり、「働けば自由になる」という意味のドイツ語だ。
ポーランド国会の下院を通過したこの法案は、とりわけ、アウシュヴィッツをはじめとするナチスの強制収容所を「ポーランドの死のキャンプ」と呼ぶことを禁じている。
ポーランドの民族主義者の多くは、かつての同国のリベラルな政府が反ユダヤ主義に対して行ってきた糾弾は、度を超していたと考えている。自国の歴史に対する遺憾の念をポーランド人に抱かせることを目的とした、いわゆる「恥の教育」が行われてきたと彼らは見ており、今回の法案はそうした過去のあり方への反動の一環というのだ。
大戦中にユダヤ人を助けたポーランド人が大勢いた一方で、ナチスの侵攻後、ポーランド人がユダヤ人を襲う事件も多数あった。
POLIN(ポーランド系ユダヤ人歴史博物館)によれば、イェドヴァブネ事件は、ナチスの軍隊がポーランド国内で勢力を拡大するさなかに起きた何十件というポグロムのなかのひとつだという。
しかし、ポーランド国内では第二次大戦前にも、反ユダヤ主義運動が独自に行われていた。
この記事は英語から翻訳されました。翻訳:阪本博希/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan