「取れてしまった」だけだと思っていたIUD(子宮内避妊器具)が、11年間もメリンダ・ニコラスの下腹部を漂っていたと判明した。
IUDとは、子宮内に装着して受精卵の着床を防ぐ避妊器具のこと。いくつか種類があり、中には黄体ホルモンが付加されているものもあるが、全て交換しなくとも数年にわたり避妊効果がある。
手間いらずで効果も長い。そのためニコルス(40)は息子を産んだ後にIUDを装着した。2007年のことだった。
数週間後、おかしなことが起こる。装着したはずのIUDがレントゲン写真に写らないのだ。
「どこにもなくて、きっと取れて落ちたんだろうと医者から言われました」とニコルスはBuzzFeed Newsに語る。
「『取れたなら気づきませんかね?』と聞いたら、『そうとも限らない』という返答でした」
その後何事もなかったかのように日々は過ぎた。
11年後、全く関係のない背中の痛みで病院を訪れた。
するとレントゲン写真に取れたはずのIUDが…。
IUDは取れておらず、ずっとニコルスの下腹部を漂っていたのだ。
彼女は全く気がづかなかった。
産婦人科医で米国産婦人科学会のレイチェル・キャノンによると、ニコルスのようなケースは極めて稀だという。
IUD装着の際に子宮を貫通してしまうのは1000個に1個程度で、腹部まで到達することは滅多にない。
「通常、IUDが正常な位置から子宮筋層や外側に『移行してしまう』ことはそうそうありません。ニコルスは病院に行っていたのにここまで発見が遅れてしまったというのは、本当に稀なことです」
一般的に、IUD装着の処置を受けた場合、6〜8週間後に問題がないか検査を受けるケースが多い。器具の先端に付いている紐が確認できなかった場合、超音波検査で器具が子宮を貫通してしまっていないかを確かめる。
IUDが子宮外に出てしまうことによって何らかの症状が出ることはあまりなく、患者にとってもリスクは低いが、避妊効果はなくなってしまう。
しかしキャノンによると、異物が体内にあることによって、多少なりとも感染症のリスクが伴う。そのため正常な位置から外れてしまったIUDを取り外す際は手術が行われる。
ニコルスのIUDは1月30日に腹腔鏡手術(内視鏡を腹部に挿入する手術)で取り除かれた。
IUDの装着を行う際、避妊の効果と一緒に貫通のリスクについても医者が患者に説明する必要性をキャノンは説く。
「避妊方法は様々。あらゆる効果とリスクを加味してどの方法を取るか決めるべきです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子