女性蔑視発言を繰り返している、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏。
トランプ氏はこれまでにも女性に対する差別発言が問題視されてきた。第2回討論会前には、「有名人なら、女はやらせてくれるんだ」など、女性を蔑む過去の発言が暴露され、異例の謝罪に追い込まれた。
世界の代表的なミスコンテスト「ミスユニバース」。トランプ氏は優勝した女性を「ミス子豚」と呼んだことも。
そして今度は、自身が主催していたミスコンテストの候補者が着替えをしていた控え室に、「無断侵入」していたことが明らかになった。
そのコンテストは、14歳から19歳が対象の「ミスティーンUSA」。1997年のミスティーンUSAには51人が参加。BuzzFeed Newsはこのうち49人に取材を試み、15人がインタビューに応じた。
元ミスティーンUSAバーモント州代表のマライア・ビリャードさん
「急いでドレスを着ている時だった。『男がいる!』と驚いたのを覚えている」
ビリャードさんによると、控え室に入ってきたトランプ氏は「心配するな、お嬢さんたちよ。今まで何度も見てきたから」と話していたという。
着替えの真っ最中に、トランプ氏が控え室に入ったことを記憶していたのは、ビリャードさんだけではなかった。
17歳だった別の女性は当時を振り返る。
トランプ氏が姿を見せた瞬間、候補者の女性は一斉に身体を隠したという。
「あの時まだ10代だったから、とても怖かった。大会を運営するオーナーだから、特権が与えられていると思った」
「成人し母親になった今ならはっきりと言える。完全に不適切な行動だった」
控え室には、まだ15歳だった女性もいた。服は着ていたが、化粧をしている最中だった。控え室に入ってきたトランプ氏に、自己紹介をしたという。
オーナーの特権を行使?
トランプ氏は1996年から2015年まで、「ミスティーンUSA」を運営する会社を所有していた。この会社は「ミスユニバース」も運営していた。
更衣室に「無断侵入」したことが批判の的となるのは、今回が初めてではない。2000年のミスユニバース候補者も、裸でいる時にトランプ氏が控え室に入ってきたと、BuzzFeed Newsに明かしている。
トランプ氏自身も、「オーナーの特権」を行使してミスユニバースの控え室に入ったと公言していた。
「みんなが着替えている時に控え室にいつも行くんだ」。トランプ氏は過去に出演したラジオ番組でこう自慢したとCNNが伝える。
「他の男は誰もいない。私だけが入れるんだ。オーナーだからね」
「検査しているんだよ。『みんな、大丈夫かい?』って言いながら。裸で立っている彼女らを見る。そうやって、うまくやってきたんだ」
トランプ氏陣営にコメントを求めたが答えはなかった。「ミスティーンUSA」の運営会社も取材を拒否した。
疑惑を否定する候補者も
トランプ氏が更衣室に入ってきた記憶はないと話す候補者もいる。
大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏との対立が、疑惑浮上の背景にあるとの指摘もある。
元メイン州代表の女性は「一部の元候補者は、たぶんクリントン氏を支援しているから、嘘をついている」と話した。
こういった主張に対して、ビリャードさんは「クリントン氏も、トランプ氏も応援していない」と反論する。
ビリャードさんは、「裸を見るためでなく権力を誇示するために控え室に入ってきたのだろう」と見ている。
性的欲求が「控え室侵入」の理由でないにしろ、ビリャードさんの気持ちは変わらない。
「トランプ氏が運営しているミスコンテストには絶対、私の娘を出場させない」
女性がらみの疑惑や失言が相次いで報じられるトランプ氏。大統領選の投票日まで残り1カ月を切った。この問題を解決し、支持を拡大できるのか。