格差やテロを乗り越え「愛の文学」つづるナイジェリア女性たち

写真家グレナ・ゴードンが数カ月かけて撮った女性作家たちの素顔

    格差やテロを乗り越え「愛の文学」つづるナイジェリア女性たち

    写真家グレナ・ゴードンが数カ月かけて撮った女性作家たちの素顔

    写真家グレナ・ゴードンは数カ月にわたって、ムスリムの女性作家たちを撮影した。彼女たちの小説は、製本こそ安っぽいが、北ナイジェリアの市場で人気を博している。

    彼女たちの書く本は「リッタタファン・ソヤッヤ」と呼ばれている。現地の言葉で「愛の文学」という意味だ。内容は、恋愛ファンタジーばかりではない。政治や子供の結婚、人身売買のような、社会的なテーマに挑むこともある。

    「愛の文学」の流行は1990年、ナイジェリア北部の都市、カノで始まった。

    そのきっかけとなったのが、『罪は子犬のように家までついてくる』(バララバ・ラマット・ヤクブ著)の出版だった。幼な妻として結婚してから、離婚し、貧困に苦しんだ19歳までの実体験に基づいて、書かれた作品だ。

    ナイジェリアは、男女の社会的格差が大きい国だ。中でもイスラム教徒が多い北部は、特に格差が激しく、女性が教育を受けることが難しい。

    家族から執筆の支援を受けられる女性はごく一部だ。

    しかし、政府の検閲は、全員が受けている。

    2007年には、カノの首長が公の場で「愛の文学」を燃やす事件があった。首長は、「愛の文学はポルノだ」として、北ナイジェリアの伝統的な価値観から逸脱していると主張した。

    ナイジェリア北部の都市カノは、世界的には「イスラム過激派ボコ・ハラムから攻撃されている地域」として知られている。写真家ゴードンは、写真集『Diagram of the Heart』で、この地域の別の一面を見せてくれる。

    ボコ・ハラムによる女生徒276人拉致事件のほか、北ナイジェリアの結婚式や、現地で暮らす魅力を写真に収めている。