愛犬をなぶり殺しにされた大学生、愛犬の死に対して正義を望む。

    「パグ犬が攻撃的だったとしても、パグ犬がどれだけの害が及ぼせるというのでしょうか。なぜ、小さなパグを、死んでしまうほど強く殴りつける必要があったのでしょうか」

    フロリダ州ゲインズビルの大学生、キリー・ウォーカーさん(20)は、公益事業者が彼女のパグを工具のバールで殺し、それを自己防衛だと主張したことに対して、真っ当な説明を求めている。

    愛犬のパグのベントレーとルームメイトの犬でピットブルの雑種のルナが家の門から抜け出し、いなくなったことにウォーカーさんが気付いたのは、バレンタインデーのことだった。

    ウォーカーさんとルームメイトは2匹の犬を探しに行った。すぐにルナは見つかったが、ベントレーは見つからなかったとウォーカーさんは話す。

    二人は数ブロック先で、電気・上下水道・ガス・通信事業を行うゲインズビル・リージョナル・ユーティリティー社(以降GRU社)のトラックと労働者たちを見かけ、パグを見たかどうか聞いてみることにした。労働者らは「いらいらしている」ように見えた。

    ウォーカーさんはBuzzFeed Newsの取材に対し、「GRU社の人たちは私たちが犬の名前を捜して呼んでいるのを見ていました。そこで私のルームメイトは彼らに向かって歩いて行って、『パグを見ませんでしたか?』と聞きました。GRU社の人々は『ああ、犬はそこの草の中に寝ているよ、元気じゃないけどな』と答えました」と話す。

    そして、ウォーカーさんはベントレーが草の中に横たわって死んでいるのを見つけたのだ。

    「私は駆け寄っていって、『ベントレー、ベントレー!』と叫んで揺さぶりました。そして、気づいたんです。ベントレーが死んでしまった、と。もう何もすることはできませんでした。座りこんで、大泣きしました」

    ウォーカーさんは、「打ちのめされました」と愛犬の死について言います。

    「ベントレーは私の親友だったんです。ベントレーのように特別な犬は飼ったことがありません」とウォーカーさん。

    ウォーカーさんによると、愛犬の体には怪我の痕跡はなかったという。それでも、彼女は車に引かれたのだと思った。GRU社の人々は、そのときは否定しなかったが、それは彼女の誤解だった。

    「何が起こったのかと尋ねたとき、GRU社の人々は知らないと言いました」とウォーカーは語った。 「私がそこに座らせまま、車に当たったと思わせたままにしました。何が起こったのか知らないと嘘をついたんです」

    実際には、労働者の一人がベントレーを金属製のバールのプラスチック製の端で一撃して殺した、とGRU社のスポークスマンのデイヴィッド・ウォーム氏はBuzzFeed Newsに認めた。

    ウォーム氏は、ベントレーとルナの両方が 「攻撃的に」労働者に近づいてきたので、労働者は「自己防衛で」そうしたと述べた。

    ウォーカーは、実際に何が起こったのかを二日も知らされていなかった。ベントレーの死から2日後に現場監督が家を訪ねてきて、ようやく真実を知らされたのだった。

    「何が起こったか教えるためにGRU社の監督が家にやってきたとき、その人は何があったかを報告する義務があると言っていました」とウォーカーさん。「GRU社は謝罪はしませんでした。そして、なぜ労働者が当初、私に嘘をついたのかについても説明してくれませんでした」

    ウォーム氏によると、2匹の犬は労働者に近づき、ルナは 「うなり」、ベントレーは労働者の足を「噛もうとした」という。

    労働者が取った措置は「訓練通りの手順で」行われ、正当防衛であることを理由に、労働者は懲戒処分を受けないと述べた。

    この10年間で、同社の労働者のうち30人が勤務中に犬に噛まれたとウォーム氏は付け加える。

    「手順に従って、その労働者はしなければいけないことをすべてをやりました」とウォーム氏は言った。「彼は道に迷って近づいてきた2匹の攻撃的な犬から自分を守ったのです」

    ウォーカーさんは犬を殺した労働者の名前を知らされていない。しかし、彼女は警察に通報するために、GRU社に対象者の名前を伝えるように依頼し続けている。

    ウォーム氏は、この話が公になったことで、同社宛に死をほのめかす脅迫状が複数届いていることを理由に、同社はその従業員の名前を公表しないと語った。

    「本当に辛いことです」と、ウォーム氏はベントレーが殺されたことについて話す。「そして、その労働者の取り巻く状況も同様に辛い状況なのです」

    ウォーカーさんは、ベントレーが実際に労働者に危害を加えようとしたとは考えていない。

    「ウォーム氏は、パグが労働者の足首に噛み付こうとしいていたと言いますが、ベントレーはじゃれつきたかっただけなはずです。あの子はみんなが好きだったんですから」とウォーカーさん。

    そして、もしその労働者が犬に対して恐怖を感じたとしても、なぜ催涙ガスを使って撃退したり、トラックに逃げ込んでやりすごしたりしなかったのか理解できないと感じている。

    「たとえパグ犬が攻撃であったとしても、どれだけのことができるというのでしょう。なぜ、彼らは小さなパグを殴り倒して死なせる必要があったのでしょう?」ウォーカーさんは疑問を投げかけている。

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan