米企業で初めて時価総額1兆ドル突破のApple　1976年の創業からこれまでを写真で振り返る

Apple Ⅱの発売日のスティーブ・ジョブズ。当時、Appleはこのコンピューターを他社の「マイクロコンピューター」と差別化するため「ホームコンピューター」と名付けて売り出していた。（1977年）

Apple Ⅱはスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの2人によってデザインされ設計された。このコンピューターは世界で初めて個人向けに、完成した状態で大量生産され販売されたパーソナルコンピューターで、コンピューター愛好家はもちろんのこと、それまでコンピューターに触れたことのなかったユーザーにも受け入れられ大ヒットした。

マサチューセッツ州のケンブリッジでApple Ⅱの本体からメモリーボードを取り出して見せる電気量販店の店長、ジョエル・スコルニック。（1978年11月15日）

左：Apple Ⅱと一緒に写真に収まるスティーブ・ジョブズ。

右：Apple Ⅱの後継機とするべく開発されたApple Ⅲは1980年に発売。ビジネスユーザーをターゲットに販売された。開発の段階でスティーブ・ジョブズは騒音を出さないために冷却ファンや通気孔を設けないことにこだわったが、結果的にハードウェアの問題が頻発。リコールを余儀なくされ、1984年に生産中止となった。販売価格が他のコンピューターに比べて高価であったこともあり商業的にも失敗している。

ウォズニアック（左奥）とジョブズ（左前）と並んで座る当時のアップルCEO、ジョン・スカリー（右）。Apple Ⅱcを紹介している。（1984年）

スカリーはペプシの社長も務めたほどの人物で、マイケル・ジャクソンのCM起用などでコカコーラをアメリカの炭酸飲料市場で追い抜くまでに成長させた。そんなペプシの躍進を牽引している最中、スカリーを口説き落としてAppleに連れてきたのはジョブズだった。1982年CEO就任。

しかし、この体制は上手くいかず、1985年5月24日の取締役会でスカリーはジョブズもしくは自分どちらかを選ぶことを求める。結局、ほとんどの取締役が選んだのはスカリーだった。

5月31日、ジョブズは全ての仕事を剥奪され、自ら創業したAppleを去った。

サンフランシスコのコンピュータークラブの子どもたちがApple Ⅱcのキーボードを試す。このマシンはApple Ⅱをより小型にしたもの。（1984年4月24日）

1989年に発売されたマッキントッシュ・ポータブル。バッテリーによる屋外駆動が可能な初めてのMacで、人々はようやく電源が近くになくてもMacを使うことが可能になった。

子どもたちが教室でAppleのコンピューターを使う。サンフランシスコの学校のある教室。

1980年代初頭、Appleが大量のApple Ⅱeを教育現場へ数千台規模で寄付したことに端を発し、学校現場ではAppleのコンピューターが浸透した。（1994年）

左：株主総会に臨むCEOのマイケル・スピンドラー。Apple再建のために互換機をライセンスビジネスで販売する案と人員削減案を提案した会場で彼に浴びせられたのはブーイングの嵐だった。その後、買収交渉に臨むも交渉決裂、責任を取りCEOを辞職した。（1996年1月23日）

右：ミャンマーの僧侶たちの頭上に掲げられているのはマッキントッシュ販売を告げる広告。（1996年5月25日）

サンフランシスコで開催されたマックワールドの展覧会でのエキシビションの様子。この翌週、Appleは業績悪化で1000人の従業員をリストラした。（1996年1月12日）

翌年2月、ジョブズが起業したNeXTの買収が正式に決まりジョブズも非常勤顧問として1985年以来12年ぶりにAppleに復帰した。

Appleの新機種ニュートンを売り込むセールスマン、バロン・バイロン。

ニュートンはAppleが世界で初めて発売した個人用情報端末機器（PDA）でスマホの先駆け的存在だった。しかしその機体の大きさと価格の高さで市場に受け入れられることはなかった。（1997年5月22日）

カリフォルニア州・クパチーノにあるAppleのキャンパス。（1997年2月3日）

この日、AppleはMicrosftとの特許のクロスライセンスと業務提携を発表した。

その中身はMacで初期設定されているブラウザをインターネットエクスプローラー（IE）に変える代わりに、MicrosoftはMacにより最適化したOffice製品を開発するというもの。

発表会ではジョブズの基調講演の最中にビル・ゲイツがスクリーンに映し出される形で登場した。（1997年8月6日）

ボストン市内の露店でアンチウィンドウズのTシャツを購入する男性。（1997年8月7日）

1997年に始まったAppleの広告キャンペーンのスローガン「Think different」。

当時、Appleが市場でシェアを奪い合っていた直接のライバルはIBM。IBMは古くから「Think」というスローガンで広告を打っており、彼らへ対抗する形で異なる選択肢を消費者へ提示しようとする意思が現れたコピーだった。（1998年3月31日）

iMacを体験する少年。（1999年）

この初代iMacは本体、マウス、ケーブル、キーボードまで徹底して半透明のデザインで統一された。当時のコンピューターとしては安価な17万8000円で発売されたことで世界的大ヒットに。4ヶ月で80万台を出荷した。

その後、デザインや設計は大きく変わったが、ディスプレイ一体型というコンセプトはそのままにiMacはアップデートを続け、世界中のユーザーへ届けられている。

当時の新機種・iBook。1998年に発売され大ヒットしたiMacと同じく半透明の筐体を採用し、それまでのコンピューターのイメージを覆す商品だった。このiBookのコンセプトや機能が2006年に発売されるMacBookへと続いている。（1999年7月1日）

Apple復帰、CEO就任の翌年。iMacを世界へ売り出した当時のスティーブ・ジョブズ。この2年後、AppleはiPodとITunesを発表し、音楽業界へと参入した。

順風満帆かと思われたが、ジョブズは2003年に膵臓癌に。（1998年9月17日）

2007年、iPhoneを発表したスティーブ・ジョブズ。このときには、膵臓癌の治療のために腫瘍の摘出手術などを行い、痩せ細ってしまっていた。

翌年、癌は肝臓へと転移、休職などを挟みながら職務を果たしてきたが2011年8月24日にはCEOの職をティム・クックへと譲った。その年の10月5日、この世を去った。