1970年代にゲイ男性を狙った連続殺人犯の新たな似顔絵が公開

    サンフランシスコ市警は、1970年代にゲイ男性を少なくとも5人殺害した「ドゥードゥラー」として知られる連続殺人魔の似顔絵を新たに公開した。

    1970年代半ばに発生し未解決事件となっている、白人のゲイ男性をターゲットにした連続殺人事件の容疑者とされている「ドゥードゥラー」(落書きを描く人という意味)の捜査に関し、サンフランシスコ市警察は最新の似顔絵を公開し、情報提供者に10万ドル(約1100万円)の賞金を出すと発表した。

    2月6日に開かれた記者会見で、サンフランシスコ市警のグレッグ・マッカカーン警視は、1974年1月〜1975年9月の間に犯人は少なくとも5人を刺殺したとみられていると説明した。

    「1970年代にゲイの白人男性たちに起きた、身の毛もよだつような殺人事件の被害者たちに、正義をもたすことができるよう、みなさんの協力を請いたい」とマッカカーン警視は述べた。

    殺人犯とされる容疑者が「ドゥードゥラー」と呼ばれている理由は、サンフランシスコのカストロ地区(現在はLGBTの街として知られているが、当時はその認識が確立されつつある時だった)にあるバーやレストランで、被害者の顔のイラストを描きながらアプローチしてきたためだ。性行為の後に暴力的に豹変し、被害者を殺害したと考えられている。

    マッカカーン警視によると1975年に公開された容疑者の似顔絵は、同年7月に発生した2件の暴行事件と、連続殺人事件の容疑者とが同一人物だと考えた当時の警察が、暴行事件の被害者への聞き取りを行った際に作成したものだ。被害者2人はいずれも白人のゲイ男性で、ドゥードゥラーに殺害された被害者の遺体と同じようなケガをしており、加害者の描写もよく似ていた。さらに被害者の1人は、深夜営業の食堂で出会ったとき、犯人は紙にイラストを描いていたと説明した。

    警察によると、いずれの被害者も犯人について、19〜25歳の「黒人男性」で身長180〜182センチの痩せ型、中くらいの明るさの滑らかな肌だったと描写した。

    こうした情報をもとに1975年に容疑者の似顔絵が描かれた。そして今、これに「エイジ・プログレッション」(経年人相画)と呼ばれる年齢を加味する画像処理を行い、現在予想されるドゥードゥラーの姿を法医学アーティストが作成したのだとマッカカーン警視は説明した。

    マッカカーン警視によると、昨年、悪名高かったゴールデン・ステート・キラーが身元が特定されて逮捕された。これによって、未解決事件部門の責任者であるダン・カニンガム巡査長が、未解決の殺人事件、特に連続殺人とみられる事件を再び調べ始めたのだという。

    事件当時の捜査官は、ドゥードゥラーが14人を殺害した可能性があると推測していたが、警察ではこれまでのところわずか5人(ジェラルド・カヴァナー、「ジェイ」ことジョセフ・スティーヴンス、クラウス・クリストマン、フレデリク・キャピン、ハラルド・ガルバーグ)の殺人事件しか裏付けが取れていない。

    カニンガム巡査長は地元紙サンフランシスコ・クロニクルに対し、「いくらか進展はしているが、フラストレーションがたまる事件だ」と話した。

    「この事件は当時、全体的にそれほど注目されていなかった。同性愛者に関することだったから。この事件に関わった人の中には、ゲイという点や当時の状況のせいで、なかなか名乗り出せなかった人もいた」

    現在の捜査における「重要参考人」は、1976年と1977年に刑事が複数回にわたり事情聴取したとされる人物。当時の報道で、容疑者だとされた人物でもあることをカニンガム巡査長は認めている。

    1977年7月8日付のAP通信の記事によると、サンフランシスコ市警の刑事は、「ほぼ間違いなく」犯人と思われる人物を特定していた。ところが、ドゥードゥラーが起こした他の暴行事件の被害者3人(「著名な芸能人」やヨーロッパの外交官が含まれていた)が証言することも表に出ることも拒否したため、起訴できないと述べていたという。

    カニンガム巡査長は2月6日、前述の外交官に事情聴取し、確度の高い新情報を得たが、芸能人については氏名を特定できていないと記者たちに話した(ただし、同性愛者であることを公表していなかった俳優のロック・ハドソンではないとカニンガム巡査長は確認した)。

    2014年、ドゥードゥラーの殺人事件に関する包括的な記事が、サンフランシスコで当時刊行されていたサイト「The Awl」に掲載された。記事で紹介されているLGBT関連の出版物には、容疑者が精神科の診察中に自分の犯行を認め、そのことを医師が警察に話した、というエピソードがある。

    警察は詳細を述べることも、数十年前の出版物に書かれたことが正しいと確認することもしなかったが、マッカカーン警視とカニンガム巡査長の両者は、容疑者を治療していた精神科医を特定したいと報道陣に語った。精神科医の苗字は「プリースト」で、サンフランシスコ東部にあるイースト・ベイと呼ばれる地域で開業していたはずだとマッカカーン警視は述べた。

    警察は、ドゥードゥラーに攻撃されながらも逃げた被害者は前述の男性たちの他にもまだいるとみているが、性的指向が明らかになるのを恐れて通報しなかったのではないかと考えている。6日に公表された犯罪速報は、今回発表された新たな似顔絵も掲載しており、こうした男性たちに特に訴えかけている。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。
    翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan