米マックで男が黒人の若者に銃を向ける事案が発生、警察が捜査へ

    銃を持った男がいると報告を受けた店長は、「そんなのどうでもいい。うちの店からとっととうせろ」と10代の子たちに告げたという。

    米ミネソタ州の警察は11月20日、主にソマリア系の黒人からなる10代の男女グループがマクドナルド店内で男性に銃を向けられたとする事案について、捜査を開始したことを明らかにした。騒ぎがあったのは19日。この様子をとらえた動画はSNS上で拡散され話題になっていた。

    動画には、銃で脅された10代の男女に向かい、同店の店長が「店からとっととうせろ」と言っている様子も映っている。

    動画を撮影しアップロードしたのは、ファリダ・オスマンさん(16)だ。

    ファリダさんはBuzzFeed Newsに対し、自分たちに銃が向けられたこと、そしてマクドナルド店員があのような対応を取ったことの主な原因は、自分と友達が黒人だったこと、そしてそのうち女友達3人がヒジャブと呼ばれるイスラム教徒の女性が被る布を身につけていたことだと思うと話した。

    「私たちが黒人でイスラム教徒だったからだと思う」

    「人種差別をされたことは以前もあるけれど、これまで銃を向けられたことはありませんでした」とファリダさんは話した。

    @McDonalds is this what you stand for? We were just trying to order when this man said racist remarks, claimed to be touched (when really he pushed a kid as seen on video) pulled a gun out on kids and you still kick us out knowing we’re in danger? 1/2 https://t.co/3vKXsxhuwH

    ファリダさんはTwitterで、「マクドナルド、これがあなた信念なの?私たちはただ注文しようとしていただけなのに、この男が人種差別的な発言をして、触れられたって言い張って(ビデオで分かる通り、本当は男の方が押したの)、私たちのような子供に銃を向けた。それなのに、私たちが危ない目に遭っていると知りながら店から締め出すの?」と書いた。

    この出来事をとらえたビデオは11月19日にTwitterに投稿された後に拡散され、20日夜までには65万回近く再生された。

    ミネソタ州エデン・プレイリーの警察署は20日、BuzzFeed Newsへの声明の中で、犯罪行為があったか否かを判断するために、今回の出来事に関する状況を捜査しているところだと説明した。

    エデン・プレイリーのマクドナルドのオーナー経営者であるポール・オスタガート氏も声明の中で、今回の出来事を非常に深刻に受け止めており、地元の警察当局に協力していると述べた。

    「当店のお客様と従業員の安心と安全以上に重要なものはありません」とオスタガート氏は話している。

    ファリダさんによると19日夜、自身と友達数人(ファリダさんの他に女子3人と男子10人ほど)はマクドナルドの先にある図書館にいたが、何か食べようということでマクドナルドに来たという。男子は席に着き、女子は注文するために列に並んだ。

    グループの1人ジハン・アブロゥラヒさんが最前列まで来た時、食べ物の代金をアップルペイで支払おうとした。しかし何度試してもうまくできず、列を滞らせてしまった。

    BuzzFeed Newsの取材に対し、同じグループのアマル・ムハンマドさん(17)は、自分のApple Payでジハンさんの支払いを手助けしようとしたが、それもうまくいかなかったと話した。

    そしてその列の後ろの方に並んでいた、カモフラージュ柄のフード付きスウェット・シャツを着た白人男性が文句を言い出したのだ。

    アマルさん(動画の中で赤いヒジャブを被った女性)によると、男性は腹が減ったと言い、支払いにどれだけ時間をかけているのかと2人に対して苦情を言い始めたという。

    「男はある意味、攻撃的でした」とアマルさんは話す。自分たちの真後ろ(苦情を言っていた男性の前)にいた人が男性に向かって振り返り、「みんなだって自分の夕飯を待っているんですよ」と男性に声をかけたという。

    「その後、注文を取っていた店長がこう言ったんです。『Apple Payで支払えないなら、キャンセルして次の人の注文を取らなきゃいけない』。なので私たちは列から外れて後ろに並び直しました」とアマルさんは説明した。

    不満を述べていた男性は2人の女性が列に戻る際、2人が「EBT」を使っていたに違いない、と口にした。EBTとは、生活保護受給者がカードや携帯電話アプリから「フードスタンプ」と呼ばれる食料費補助を使って買い物ができるプログラムだ。

    ファリダさんはBuzzFeed Newsに対し、最初に支払いがうまくいかなかった友達であるジハンさんが男性のこのコメントで怒り出したと説明した

    「ジハンは、『黒人だからってEBTを使うわけじゃない』と言いました。その後は、男は『EBTを使っているだろ』と言い、ジハンは『使っていない』と言って男に対し人種差別はやめろと言いました」

    2人は怒鳴り合い出し、アマルさんはジハンさんの肩を持とうと2人の間に割って入ったという。

    「男性は基本的に、『黙れ、俺に話しかけてくるんじゃない』と言っていました。私は『そんなこと言うべきじゃない』と言って、2人の言い合いに割って入りました」

    ファリダさんは、男性がアマルさんとジハンさんに向かって歩き始めた時、怖くなったと話す。

    「男がアマルとジハンに向かって叫びながら近づいて行きました。それでこの瞬間、私が携帯を取り出して録画を始めようとすると、男は後ずさりしていきました」とファリダさんは説明した。

    録画するためにビデオ・アプリを立ち上げようとしていた時、男性は自分が録画されていないと気づき、アマルさんに再び近づき始めたとファリダさんは振り返る。

    「男は私の顔まで近づいてきて、手は拳を握っていたので、危ないと思いました」とアマルさんはBuzzFeed Newsに話した。この時点で、「男友達が全員すぐ近くにいた」ことを思い出し、助けを求めたとアマルさんは加えた。

    「ソマリア系の男子が大勢いるのを見た男は、さらに脅威を感じたようです。誰も男を脅したり触ったりしてはいなかったんだけど」

    ファリダさんがTwitterに投稿した動画(銃が出されたとされる前に撮影)にも映っているように、男性はグループから少し距離を置いたところで、「触るな」と叫んでいる。

    動画の中でファリダさんが「誰も触っていないでしょ」と言い、グループの他の人たちも似たような発言をしているのが聞こえる。

    ファリダさんが動画の撮影を始めたのはこの直後だ。

    「男はドアに向かって歩いて行き、私の友達の1人を押しました」とファリダさんは話す。

    ファリダさんとアマルさんが「アミン」さんと呼ぶ別の男友達が、男性に向かって歩いて行っているのが動画に映っている。

    「アミンが『なぜそんな荒っぽいことするんだ?』というようなことを言うと、男は銃を取り出し、笑ってから、店から走って出て行きました」とファリダさんは振り返る。

    動画には、武器を持った男性から逃げる10代のグループに向かって、マクドナルドの店長が店から出ていくように話している様子が映っている。「あの人銃を持っているよ」と叫ぶ誰かに対し、店長は「そんなのどうでもいい。うちの店からとっととうせろ」と返している。

    ファリダさんはBuzzFeed Newsに対し、銃で脅されたのに店から出ていくよう命令されたのが「最悪だった」と話した。

    「店側に、『あんたたち全員、今すぐ出て行って』と言われました。私たちが出てくるのをあの男が待っているのに。男が外にいるのに」と話した。

    ファリダさんがアップロードした別の動画には、マクドナルドの従業員がグループを無理やり店の外に出そうとしながら、「(男性が)銃を出したのは理由があった」と話しているのが映っている。

    After yelling you also add “if he pulled out a gun it’s for a reason”. There should be no reason that a man pulled out a gun on children just trying to order their food. 2/2 https://t.co/fg1LByNBbL

    ファリダさんはTwitterに「怒鳴った後に、『彼が銃を出したなら理由があってのことだ』と言いましたよね。ただ食べ物を注文しようとした子供たちに銃を向けるのに理由なんてあるべきじゃない」と投稿した。

    アマルさんとファリダさんによると、列に並んでいた別の白人男性が店長に反論したという。この男性がいなければ、きっと自分たちは銃を持った男がまだ外にいるのにマクドナルドから無理やり追い出されていただろうと2人はBuzzFeed Newsに話した。

    動画の中で男性は店長に向かい、「男が銃を向けたばかりなのに、この子たちを外に出すなよ。警察呼べよ」と叫んでいるのが映っている。男性はファリダさんたちに名乗ることなく、警察が到着する前に店を去ったという。

    「この男性がいてくれて本当にありがたかったと思う。もしこの人がいてくれなかったら、店を出なくちゃいけなかったと思う。店側は私たちのことで警察を呼んでいたと思う」とファリダさんは話した。

    「私たちは子供。もしあの男性が助けてくれなかったら、私たちはきっと追い出されて撃たれていたと思う」と加えた。

    アマルさんも同意する。

    「本当に怖かった。外にまだ男が立っていたのに、店長は私たちを追い出そうとしました。あの男が私たちを傷つけようとしていたかどうかは分かりませんでした」

    「助けてくれた男性はたまたまそこにいただけなんだけど、起きたことをすべて見ていました。男性は、店長が私たちを追い出そうとしていた時に店長に話をつけてくれたんです。この男性が店長に話し始めたら、店長は落ち着いてきました。私は男性と握手して、助けてくれたことにお礼を言いました」

    マクドナルドの店員が最終的に警察に通報したと言う。

    ファリダさんがBuzzFeed Newsに話したところによると、ファリダさんは警察が到着する前にその場を後にしなければならなかったため、動画をエデン・プレイリーの警察に共有し、アマルさんとグループの他の人たちが警察に経緯を供述したという。

    「結局のところこれって、黒人グループ対店長なんです」とファリダさんは話した。

    「だからこそ、動画を撮りました。何かが起きた時、きちんと真剣に受け止めてもらえるように」

    2人はBuzzFeed Newsに対し、人種や宗教のせいで自分たちが標的にされるのは今回が初めてでは全くないと話した。

    「これが特に変わったことじゃないというのは、知って欲しい」とアマルさんは話す。

    「銃についてじゃなくて、こうした思い込みすべてがです。私の友達にも、同じような経験をしたことがある人がたくさんいます。ミネソタ州にいるあまりにも多くのソマリア系住民が、こういう目に遭っているんです」

    「大したことないって無視する人ばかりです。私たちの肌の色とヒジャブを見て言うんです。『それがどうした?』って」とファリダさんは話した。

    なお、ミネソタ州は1990年代に始まったソマリア内戦以降、大量のソマリア難民を受け入れており、現在は米国最大のソマリア系住民のコミュニティを抱えている。近年、テロとの関連が疑われるなどしてソマリア系住民と他の住民との緊張が高まっている。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan