【米大統領選】投票日直前、クリントン氏に最後の打撃 FBIが新たにメール疑惑を捜査

    今回の捜査によって状況は変わらないと自信を持つクリントン氏。

    10月28日、民主党大統領候補のヒラリー・クリントン氏の私用メール問題で、新しく見つかったメールを米連邦捜査局(FBI)が捜査していることがわかった。FBI長官のジェームズ・コミー氏が連邦議会に通知した。

    11月8日の大統領選の投票を迎えている中、コミー長官はアメリカ国民を欺くことのないよう「ここで公表するのは義務だと感じている」と説明。

    現在、大統領選で共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏より有利だと言われているクリントン氏。この新たな捜査がクリントン氏にどのような影響を与えるか、アメリカで注目されている。

    発覚したきっかけは、側近の夫による性的なテキストメッセージ

    FBIは、アントニー・ウィーナー元下院議員が未成年に性的なテキストメッセージを送っていた疑いで、使用していた機器を入手。クリントン氏の一連の疑惑につながる可能性のあるメールが見つかった。ウィーナー元下院議員の妻フーマ・アベディン氏は、クリントン氏の側近だ。

    連邦議会あての書簡でFBIのコミー長官は、これらのメールを捜査する意向を明らかにした。

    2015年3月にニューヨーク・タイムズ紙が報じて明らかになったクリントン氏のメール問題。これを受けてFBIは捜査をしたが、2016年7月、コミー長官は訴追に値しないとアメリカ司法省に勧告していた。

    CNNによると、コミー長官は連邦議会に通知する前に、司法省にも事前通知をしていた。ロレッタ・リンチ司法長官とサリー・イエーツ副長官は、コミー長官が投票日目前に捜査についてコメントすることは、司法省の方針に反すると懸念を示していた。

    しかし、コミー長官は司法省の懸念を無視して、独断で連邦議会に書簡を送ったという。

    新たに発見されたメールの内容が、これまでの捜査に影響するかは現在のところ不明だが、機密情報が含まれているか調べるという。

    28日夕方、ワシントンポスト紙Fox Newsが入手したFBIの内部メモで、コミー長官が投票11日前のタイミングで捜査を明かした理由をさらに説明している。

    コミー長官のメモ全文はこちら:

    みなさん:

    今朝、クリントン国務長官のメール捜査に関連して書簡を連邦議会に送った。昨日、捜査チームが無関係の事案で見つけたメールについて概要を伝えてくれた。これらのメールは関連性のあるものだと思われるため、適切な手段を講じて捜査するべきだと合意した。

    もちろん通常は進行中の捜査を連邦議会に伝えることはない。だが、ここ数ヶ月間、捜査は終わったと証言をし続けてきた。それを考慮し、ここで公表するのは義務だと感じている。

    また、調書を補足しないと、アメリカの国民を欺くことになると考えている。しかし、同時に新しく発見されたメールが何らかの意味を持つのか把握していないため、誤解を印象付ける結果を生みたくはない。書簡の概要、そして選挙の時期のバランスを取れば、誤解される危険性がある。しかし、直接私からこの件について聞いてほしかった。

    ジェームズ・コミー

    クリントン氏「自信を持っている」

    クリントン氏は、28日夜の記者会見で「事実を知らない」と事前に捜査について知らされていなかったことを一見不安な様子で話した。「FBIにすべての情報を公開するように呼びかけている」

    しかし、クリントン氏は「内容が何であれ、FBIが7月に下した結論が変わることはないと自信を持っている」と強気な姿勢も見せている。

    「コミー長官でさえ、この新しい情報が意味のあるものではないかもしれないと言っている。さっさと公開しましょう」

    アイオワ州デモインの集会で去り際に記者が「捜査で選挙運動が失敗すると心配していますか」とクリントン氏に質問した。長く大きな笑いでクリントン氏は返事をしている

    また翌日の29日、フロリダ州の集会では、投票数日前の捜査について、「前代未聞で、深く厄介だ」と酷評した。