アパホテル客室に置かれた書籍が中国で炎上 ホテル側は「現在確認中」

    「中国の日本大使館にも訴えるべき」「アパホテルにはもう泊まらないように」とボイコットを促す動きが出ている。

    1月15日、中国からの観光客がアパホテルの客室で見つけた書籍を、中国SNS微博に動画で投稿した。

    著者はアパグループの元谷外志雄代表。書籍には南京大虐殺について「捏造であることが明らか」と書いてあった。

    中国のSNSでは「次からアパホテルには泊まらない」とボイコット運動が起きている。

    現在、7200万回以上再生されている動画の投稿者は、アメリカ人のKatさんと中国人のSidさん。動画のキャプションで「すべての人が知るべき事実」と説明している。

    動画を制作してから、1日投稿すべきかどうかを2人で議論した結果、「お金を払っている人には知る権利があるから、投稿することを決めた」という。

    Sidさんは、動画の中で「日本や日本の人たちは関係ない」と最初に断りを入れた上で「アパホテルに泊まるかどうかを、皆さん自身で判断してほしい」と述べている。

    微博には「中国の日本大使館にも訴えるべき」「アパホテルにはもう泊まらないように」とボイコットを促す動きが出ている。

    実際、中国共産党の青年団(共青団)、中国最大のオンライン旅行会社C-tripや韓国大使館の公式アカウントに動画を送っているユーザーもいる。

    問題になっている書籍は「本当の日本の歴史『理論近現代史学Ⅱ』」。アパグループの元谷外志雄代表がペンネーム・藤誠志で書いた"社会時評"エッセイ集だ。日本語と英訳両方が一冊にまとめられている。

    アパグループの公式サイトで書籍を紹介しているページには、書籍が「全国のアパホテル客室にてご覧いただけます」と書かれている。また、この書籍はロビーでも販売されている。

    藤誠志氏は「日本にまつわる捏造の歴史を改めるべく、『理論近代史学』という本を執筆」したと説明。中には、このような供述がある。

    日本は今後観光大国への道を歩む。(省略)将来的には、五千万から六千万人の外国旅行者が来てもおかしくないポテンシャルがあるのだ。またインド、中国、インドネシアなど、近隣に多くの人口を持つ国があり、それらの国々の所得水準が高くなってきていることも、日本にとっては好材料だ。『棘』となっているのは、歴史問題に端を発した日中、日韓の関係のもつれだろう。しかし中国は南京で三十万人が虐殺されたとか、尖閣諸島は中国領などとこれ以上主張しても、捏造であることが明らかになるばかりと悟ったのか、トーンダウンしてきている。

    南京大虐殺についてWikipediaを引用して「捏造の南京大虐殺」と言及しているほか、「多くの女性を強制連行して性奴隷にしたという中・韓が捏造した歴史」と慰安婦問題についても触れている。

    中国の環球時報はアパホテルを「右翼の日本ホテル」と非難。環球時報によると、3年前からアパホテルの予約サービスを毎年約1000人に提供していたという旅行会社・日本華王国際の社長が「アパホテルのCEOがホテルから本を撤去しない限り」取引を中止するとの声明を出したという。

    台湾や香港のメディアでも「右翼書」として報じられている。

    なぜ、書籍はアパホテルの部屋に置かれているのか。ホテルの利用客から苦情があったのか。今後はどう対応するのか。

    BuzzFeed Newsはこれらの質問をアパグループの代表室に電話とメールにて問い合わせたが、「現在確認中」だと回答した。