殺された19歳 彼が同性愛者であることを理由に殺したヘイトクライムと警察が断定

    捜査官は、「絵画的でぞっとするような」イメージやメッセージを容疑者の電話やパソコンから見つけた。

    20歳のカリフォルニアの男性が、元クラスメートの第一級殺人に加えヘイトクライムの罪で告発された。

    サミュエル・ウッドワード容疑者は今年1月、19歳のブレイズ・バーンスタインさんを殺害したとして逮捕された。

    バーンスタインさんはカリフォルニア州のレイク・フォレストの公園に浅く埋められた状態で見つかった。遺体には20箇所以上の刺し傷あったという。

    容疑者とバーンスタインさんは同じ高校に通っていたクラスメートで、バーンスタインさんは大学の休みで家に帰ってきた際に殺害された。

    バーンスタインさんはユダヤ人の同性愛者だったため、殺害の動機には即座に疑惑が持ち上がった。 オレンジ・カウンティ・レジスター紙が取得した宣誓供述書には、殺害の夜、バーンスタインさんが容疑者にキスをしたと検察官に語ったことが書かれている。

    非営利・独立系の報道機関プロパブリカの報道によると、ウッドワード容疑者は白人至上主義で米国政府転覆を叫ぶ暴力的なグループ「Atomwaffen Division」のメンバーだという。

    Sam Woodward, the alleged killer of Blaze Bernstein, with members of Atomwaffen, violent neo-Nazi organization in Texas this past summer. https://t.co/qYCtMpOkJ8

    「昨年夏、テキサス州の暴力的なネオナチ組織であるAtomwaffen Divisionのメンバーと一緒にいるサム・ウッドワード。サム・ウッドワードはブレイズ・バーンスタインさん殺害の容疑者である」

    7月下旬、オレンジ郡のトニー・ラッカアッカス検察官が初めて、バーンスタインさんが殺された理由が性的指向によるものだという証拠があがったと明かした。

    「ウッドワード容疑者がブレイズさんを殺したのは、彼が同性愛者だったからだという可能性が高い」と彼は話している。

    新たなヘイトクライム対策の強化により、ウッドワード容疑者は有罪判決を受けた場合、最高で執行猶予なしの終身刑の判決を受ける可能性がある。

    「この殺人は意図的かつ計画的で非常に悪質なものです。殺害の動機は、被害者のブレイズ・バーンスタインさんが同性愛者だったからだということを裏付ける、十分な証拠があると確信しています」とラッカアッカス検察官は話している。

    ラッカアッカス検察官はまた、捜査官が過去7ヶ月に渡ってウッドワード容疑者の電話やパソコン、ソーシャルメディアを調べたと付け加えた。

    捜査官が確認したメッセージや画像は、人種差別主義、女性差別主義、反同性愛、反ユダヤ主義、反政府のものだったという。

    「これらの画像は絵画的かつぞっとするようなもので、差別の対象となりうるとして保護されている、ほとんどすべてのグループへの憎しみを噴出する表現でした」と彼は話す。

    ラッカアッカス検察官は「証拠が増えれば別の告訴を行える可能性がある」と語り、この事件が同性愛のヘイトによって動機付けられているとする証拠や、ウッドワード容疑者がAtomwaffen Divisionのメンバーだったかどうかは明らかにはできないが、もしさらなる情報を持っている人がいたら連絡してほしいと呼びかけた。

    バーンスタインさんの両親は、この新たなヘイトクライムでの告発後、ヘイトクライムを経験したLGBTの人々とともに立ち上がった。

    「今日、私たちはブレイズが単に彼が彼である、人間であるということだけで殺されたらしいと知って、新たな苦痛を味わっています」と父親のギデオン・バーンスタインさんは話す。

    バーンスタインさんの母親のジャンヌ・ペッパーさんは人々にブレイズさんのことを思い出し、優しさの実践をするように呼びかけている。家族はFacebookグループをスタートさせ、人々に#BlazeItForward(ブレイズを次に繋げよう)と求めている。

    「私たちはヘイトが現実にある世界に生きています。ブレイズの事件によって立ち上がり、優しさを次に繋げて世界をより良い場所にしようとする人々は、私たちのFacebookグループに登録せずに黙っていることだってできるんです。でも、もし私たちみんながヘイトや不寛容に対して何か行動を始めれば、世界を変えることはできるでしょう」

    カリフォルニア州では人種や信条に対する嫌悪を動機とした殺人では死刑が宣告されることもある。

    しかしウッドワード容疑者のケースを調査したカリフォルニア州のジャネット・グェン上院議員は、容疑者のヘイト・クライムの責任を確信した一方で、当局が性的指向やジェンダーは死刑が適用されるケースに含まれていないことに気づいたと話す。

    グェン上院議員は将来のこういったケースのために、この法の隙間を埋めることをめざした法案を提出したが、州議会で法案を通過させることはできなかった。彼女は州検察局とともに働きかけ続け、来年再び法案提出を行うだろうと話している。

    「その法案は、性的マイノリティに対するヘイトクライムを犯す人々へ、州検察局は最大限の法律を守って取り締まるという強いメッセージを送ることになるでしょう」とグェン上院議員は話した。

    反ユダヤ主義と戦う名誉毀損防止組合(ADL)は声明のなかで、ヘイトクライムへの厳罰化を歓迎していると述べた。

    ADLのCEO、ジョナサン・ブリーンブラット氏はこう話している

    「この事件は、白人至上主義者の組織がいかに若いメンバーを暴力と嫌悪に満ちた文化に巻き込み、致命的な結果をもたらす可能性があるかということをまざまざと思い知らせるものでした。ヘイトクライムを厳罰化することは、ヘイトに突き動かされた暴力的な犯罪に対しては厳しい罰則が与えられるのだという強いメッセージになります」

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan