今年5月に開かれたテニスの全仏オープンで、米国のセリーナ・ウィリアムズが着た伸縮素材の黒いウェアが話題になった。このほど、フランステニス連盟のトップがこのウェアを「行き過ぎていた」とし、今後の同大会で着用を禁止する考えを示した。
フランステニス連盟のベルナール・ジウディセリ会長はテニス雑誌の取材に対し、今後、全仏オープンでドレスコードを規定する意向であると述べた。
今回、セリーナが身体にフィットしたボディスーツを着たのは、血液の循環をよくし血栓を防ぐ目的があった。
AP通信によるとジウディセリ会長は「時に度を越していると思うことがある」と述べ、セリーナのスーツを例に挙げて「これ以上は容認できない。試合と場所を尊重しなければならない」と言及した。
フランステニス連盟に対し、会長がセリーナのウェアのどこを問題としているのか、また今後のドレスコードはどのような規定になるのかについて質問したが、現時点で回答は得られていない。
今年の全仏オープンでセリーナは胸筋を痛め、4回戦を棄権している。
大会前の5月、セリーナは報道陣に対し、今回のスーツは血栓を防ぐ目的でデザインされたと説明していた。2016年9月に娘を出産後、血栓症に悩まされ、命の危険にさらされたこともあるという。「血栓でかなり苦しめられてきました。この1年で何回なったかわからないくらい」
そうした機能性を考えて作られたウェアだったが、映画『ブラックパンサー』のスーパーヒーローを思わせるところも好きだった、とセリーナは言う。
「これを着ていると戦士になった気分です。(『ブラックパンサー』に登場する)ワカンダ王国の戦う王女みたいで。ずっとスーパーヒーローになりたかったので、私なりの形でスーパーヒーローになれる方法ですね」
ウェアがデザインされたのは映画の公開前だった。セリーナは全仏オープンの1回戦にこれを着て臨み、勝利を収めている。
「プレイ中は血流をよくするために基本的にパンツをはくことが多いです。これは楽しいスーツだけど、機能面でも優れているので、問題なくプレイできるんです」
報道を受け、米国の伝説のテニス選手ビリー・ジーン・キングはTwitterで「女性の身体を取り締まるのはやめるべきです」とコメントしている。