子どもの重いやけどの2割は「電子レンジ加熱したスープや麺」から 米調査結果

    電子レンジで加熱できるインスタント麺やスープはおいしいかもしれない。しかし、毎年、何千人もの子どもたちがそうした食品によって深刻な熱傷(やけど)を負っていることが新たな研究で明らかになった。

    インスタント麺は便利でおいしい。それと同時に、危険もはらんでいる。新たに発表された研究によれば、インスタント麺やインスタントスープは、幼児にとって危うい食べ物だという。

    2018年11月に開催された米国小児アカデミー会議で発表された新しい研究によると、例年、熱傷(やけど)で救急病院に運び込まれる子ども5人のうち1人が、電子レンジで加熱できるインスタントの麺やスープによる熱傷であることがわかったという。

    ジョージア州アトランタにあるエモリー大学の小児救急研修医で、研究論文の著者であるコートニー・アレン医師はプレスリリースで、「熱傷は、子どもたちが負う予防可能なケガの主要な原因だ。痛ましい熱傷の多くが、インスタントスープをこぼした際に起きていることが、私たちの研究で明らかになった」と述べている。

    アレン医師と研究チームは、全米傷害調査電子システム(National Electronic Injury Surveillance System:NEISS)のデータを、2006年から2016年まで10年にわたって調査。電子レンジで加熱するインスタントのスープや麺、カップスープやカップ麺のいずれかを調理した際、その時の熱湯で熱傷を負った子どもたちを確認した。

    その結果、熱傷を負った4歳から12歳の子どもたちのうち、インスタントのスープや、汁の多い麺が原因だった数が、熱傷を負った子どもの全体の毎年の人数である47500人以上のうち、9500人以上いたことが明らかになった。

    患部として最も多かった部位は胴体で、熱傷の40%を占めた。それに続くのが、足や脚などの下肢、次が腕や手などの上肢だ。インスタントスープによって熱傷を負った子どもの平均年齢は7歳、また、熱傷患者のおよそ57%が女児だった。

    熱性液体熱傷は、熱せられた物体に接触した場合に起きる「熱損傷」のひとつで、熱い液体や蒸気など、湿気のあるものが原因だ(熱い金属などとの接触で起きるのは乾性の熱傷と呼ばれる)。

    NPO団体のバーン・インスティチュート(Burn Institute)によると、熱性液体熱傷はアメリカでもっとも一般的なやけどであり、5歳以下の幼児と65歳以上の高齢者が最も大きなリスクにさらされているという。

    熱い液体は、その温度と接した時間の長さによって、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度の熱傷を引き起こす。水の沸点は摂氏100度(華氏212度)だが、そこまで達していなくても深刻なダメージを与えうる。温度が摂氏68度(華氏155度)に到達すると、たった1秒の接触でⅢ度(全層)の熱傷を負う可能性がある。

    熱傷を負うと、腫れたり、水ぶくれや組織損傷が起きたり、傷跡が残ったりするほか、深刻な場合はショック状態に陥ったり、死に至ったりする。ただし、アレン医師が行った研究では、インスタント麺やカップスープによる熱傷で死に至ったケースはなく、子どもたちの90%は1回の通院で治療を終えている。

    研究では、調査対象となった熱傷の発生状況について具体的な説明はないが、どうやら、子どもたちが温め終わったスープなどを電子レンジから取り出すときに、中身をうっかりこぼしたり落としたりしたものと思われる。

    インスタント麺やスープを電子レンジで加熱する行為は、ガス台で調理するよりも危険が少ないかもしれない。電子レンジのほうが使いやすいし、そうした食品のほとんどは容器に水を入れて温めるだけで済む。しかし、だからといって子どもたちが自分で安全に調理できるというわけではない。

    中身を温めたあと、手で安全に持てるようなカップやボウルを使っていたとしても、ほんのちょっとした手違いがあったり、容器をしっかり持っていなかったりすれば、熱した液体が重度の熱傷につながる可能性はある。

    アレン医師はプレスリリースのなかで、「家族をはじめ子どもの面倒を見る人たちは、幼い子どもたちを注意深く見守る必要がある。自分で加熱しようとして熱傷を負うかもしれないからだ」と述べている。

    研究者たちはさらに、電子レンジ用カップやボウルに工夫を凝らし、ひっくり返って子どもに熱湯がかかることのないようなものに変更してほしいと食品メーカー側に呼びかけている。

    軽度の熱傷であれば、たいていは家で処置できるので、幼い子どもがいる家庭では、基本的な応急処置の方法を知っておくことが大切だ。

    自分や子どもが熱傷を負ったら、患部を覆っている衣服やアクセサリーを取り除き、普通の温度の水道水か冷湿布で冷やしてから、やさしく包帯を巻こう。患部の赤みが濃くなったり、水ぶくれができたりした場合、あるいは気がかりな点がある場合は、病院で診断を受けてほしい。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:遠藤康子/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan