スターバックスもトランプ政治にNO 「メキシコとの間に壁ではなく、架け橋を作る」

    ハワード・シュルツCEOが全従業員へのメッセージを公表。難民を5年間で1万人採用、メキシコへの投資続行など、トランプ政権に反対する姿勢を示した。

    1月29日、スターバックスのハワード・シュルツCEOは、全従業員に向けたメッセージをHPで公開、トランプ政権の移民政策に反対する姿勢を明確に示した。

    トランプ政権の方針に反対を表明したのは、スターバックスだけではない。Apple、Google、マイクロソフト、Facebookなど、移民の従業員を多く抱えるシリコンバレーのIT企業からも、次々と反対の声が上がっている。

    スターバックスのシュルツCEOはメッセージで、一部の人々が排斥される現状を、「前代未聞の時代」と表現し、こう懸念を示した。

    「長年当たり前のものだと思い、享受してきた、人権や礼節が攻撃を受けている」

    難民を5年間で1万人採用

    シュルツCEOはメッセージで、移民・難民の入国制限、医療保険、対メキシコ政策において、トランプ政権と正反対の方針を発表した。

    一番目に支持を表明したのは、移民・難民の雇用と受け入れ。

    世界75か国のスターバックスで、米国政府に指定された難民を、5年で計1万人採用する計画を発表した。

    また、当面の採用では、米国軍の通訳などで協力した個人を優先すると付け加えた。

    トランプ氏が大統領令に署名した直後に、空港で拘束された外国人の中には、イラクで米軍の通訳などで働いたハミド・ダーウィッシュさんが含まれていた

    「メキシコとの架け橋」を作る

    トランプ大統領が「米国の利益を最優先」する政策を掲げていることから、米経済界では、米自動会社フォードがメキシコ工場新設を断念するなどの影響が出ている。

    しかし、シュルツCEOは、スターバックスがメキシコへの投資を中止することはないと明言した。

    「『壁』ではなく、『メキシコとの架け橋』を作る」

    「貿易の制裁や移民規制が、彼らのビジネスに影響を与え、アメリカ人に対する信頼を損ねるかもしれない。しかし、私たちは、この非常に重要なマーケットに、今までと同じように投資を続ける」

    スターバックスは2002年からメキシコで事業を展開している。60の街にある計600店舗で、7千人が雇用されている。

    オバマケアも支持

    トランプ大統領は、オバマ政権が進めてきた医療保険制度改革(オバマケア)を撤廃させる動きを見せている

    これに対して、シュルツCEOは、トランプ政権の方針で医療保険を使えなくなった従業員は、スターバックスを通じて、医療保険を使えるようにする制度を設けるとの計画を、明らかにした。

    「スターバックスは変わらない」

    シュルツCEOは、スターバックスのビジネスを「人間の精神、個人、1つのカップ、近隣の人たちを元気づけ、育むこと」と表現する。

    メッセージは、こう締めくくられている。

    「共和党支持者が多い地域でも、民主党支持者が多い地域でも、あるいはキリスト教徒やイスラム教徒が多い地域、もしくは、分断された国家であっても、団結した国家であっても。私たちのあり方は変わりません。私がお約束します」

    メッセージの全文はこちら(英語)。

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    この記事は英語から翻訳し、追記・編集しました