カリフォルニア州がアメリカから独立?真面目に考えている人たちは……

    イギリスのEU離脱よりも厄介?

    世界的なテクノロジー企業がいくつも本社を置くカリフォルニア州。GDPは全米一で、世界6位。経済規模ではフランスを上回るとも言われる。カリフォルニア州には、米国から離脱しようとする動きが以前からあるが、大統領選を経た今、勢いづいている。果たして実現可能なのだろうか?

    11月8日の米大統領選当日。カリフォルニア州の住民は、ヒラリー・クリントン氏を大統領にすべく、投票を行った。しかし、大統領選に勝利したのはドナルド・トランプ氏だった。

    カリフォルニア州は民主党の地盤だ。選挙結果に、すっかりうんざりした住民の中には、カリフォルニアを国家にするための運動を強く押し進める人たちもいる。

    「イエス・カリフォルニア」は、そんな人たちのグループだ。今は、カリフォルニア州の憲法から、カリフォルニアは「アメリカ合衆国の切り離せない一部である(an inseparable part of the United States of America)」という部分を削除すべく、署名を集めている。

    もし、50万人の署名が集まって、住民投票が行われた結果、州憲法のこの部分が削除されれば、2019年に特別選挙が行われる。そこで、アメリカ合衆国と決別し、自分たちの国家を作りたいかどうか、投票者が決めることになる。

    イエス・カリフォルニアの代表で、「Calexit(カレグジッド)」運動の主導者、ルイ・マリネッリによると、トランプ氏の勝利を受けて運動の勢いは増している。

    彼らの主張はこうだ。カリフォルニア州が連邦政府に支払う税額に比べて、見返りが少ない。離脱すれば、連邦政府が所有している広大な土地や資源を、州が使えるようになる……。

    だが、カリフォルニア大学バークレー校の法学教授、ダニエル・ファーバーは、カリフォルニア州がアメリカ合衆国から離脱する可能性は、「10億分の1」だという。ファーバー教授によると、離脱すれば、州は多くの問題に直面する。通商問題、エネルギー問題、ハリウッド映画の著作権問題など、ありとあらゆるものが含まれている。

    「Brexit (ブレグジッド)よりも、厄介なことになるでしょう」と、ファーバー教授は言った。「通商問題やパスポート問題、人の往来について交渉しなければなりません。コロラド川からの取水にすら、交渉が必要になります」

    離脱により、深刻な手続き面のハードルにも直面する。イエス・カリフォルニアの提案がその通りに実現し、国連に加盟申請をしても、直ちにカリフォルニアが独立国家になれるわけではない。ファーバー教授によると、国連は「この件について何をする力ももたない」そうだ。

    アメリカ合衆国からの離脱を、他の州が承認してくれるとも限らない、とファーバー教授は説明した。アメリカからの離脱は、これまで考えられていなかった問題で、いずれにしてもアメリカ合衆国の協力が必要だ。

    「少なくとも、連邦議会の両院を通過し、トランプ氏に署名してもらうことが必要になります」と、ファーバー教授は言った。「法的には、よくわからない領域に私たちはいるのです」

    しかし、マリネッリは「現時点で違法だからといって、それでいいということにはなりません」と、語る。

    「議会はこの問題を取り上げようとすらしないと思います。議会が動かないなら、私たちが進めていくつもりです」

    必要なのは、問題を提起し、有権者に論争してもらうことだ、と彼は語った。

    ジェリー・ブラウン知事は2019年以前に任期が終了する。知事は離脱についてコメントすることを拒否した。しかし、ブラウン知事は11月8日の選挙当日、BuzzFeed Newsに次のようにコメントした。

    「我が国では深い分裂が起こっています。私たち、そして、特にワシントンの新しい主導者は、これらの分裂を深めるのではなく、和らげる義務があります」

    カリフォルニアには以前から、分裂運動があるが、どれもうまくいっていない。ジェファーソンという新しい州を北カリフォルニアに起こそうという呼びかけは毎年のように提案されている。

    2014年には、シリコンバレーの億万長者、ティモシー・ドレイパーがカリフォルニアを6つの州に分割する提案をした。

    アメリカ合衆国から完全に離脱するという提案は、こうした提案をしていた人たちにも支持されている。ファーバー教授の推測によると、アメリカ合衆国から離脱したいという人たちは、トランプの勝利、都市部と農村部の文化的な分裂、そして冷戦時のような敵国が存在しないことなどによって突き動かされている。

    それでも、カリフォルニアが近いうちに独立国家になることは、ほぼ確実にありえない、とファーバー教授は言う。

    「あんまり希望のないことは言いたくないんですが……」ファーバー教授は言った。「私としては、不可能だと言わざるを得ません」

    この記事は英語から翻訳されました。