トランプ大統領「全部、偽ニュースだ」 興奮し、メディアを攻撃する80分の記者会見

    「何がどうなっているのか。プレスは正直、コントロールが効かなくなっている」とトランプ大統領。

    トランプ大統領は2月16日(現地時間)、ホワイトハウスで会見し、政権に対するメディアの報道は「フェイク(偽)ニュース」に過ぎないと切り捨てた。

    「直接、国民に」話したいとして、80分近くに及んだ記者会見。トランプ大統領はCNNが自分に対して「怒りと憎しみ」をぶつけていると話した。

    「何がどうなっているのか話さなければならない。プレスは正直、コントロールが効かなくなっている」「そのうそ加減といったら、始末に負えない」

    なにがトランプ大統領を苛立たせたのか。政権の相次ぐ不祥事が背景にある。

    大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったフリン氏が13日に辞任。就任前にロシア側と不適切な協議をしていたことが原因だった。さらに労働長官に指名された米大手ハンバーガーチェーン経営者のパズダー氏は15日、これを辞退。不法移民を家政婦に雇っていたことや元妻への暴力疑惑が浮上していた。

    トランプ大統領の選挙陣営がロシア側と度重なる接触をしていたことも報じられた。プリーバス首席補佐官やバノン首席戦略官、コンウェイ上級顧問、娘婿クシュナー上級顧問ら側近たちの不協和音も伝えられている。

    だが、トランプ大統領はこれを否定した。「カオスなんか全くない」。「われわれが運営しているのは・・・これはよく調整されたマシーンだ」

    就任して約1ヶ月。トランプ大統領は「こんな短期間でわれわれが成し遂げたようなことをやった大統領はかつていなかったと思う」と誇った。

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    「全部が偽ニュース」

    「偽ニュース」発言が飛び出したのは、大統領選挙中のロシア側との接触を問われたときだった。

    ロシア当局者と接触した人間が選挙陣営にいたのではないかと記者から質問されると、「私の知る限りではいない」と断言した。

    「ロシアについて、君たちは好きなことを話すがいい。全部が偽ニュースだが」とトランプ大統領。

    「実は、このことに関わったとされる複数の人間に会ったが、彼らは何も知らなかった。彼らがロシアにいたことはない。ロシアに電話をかけたことは一度もない。電話をもらったことも一度もない。これは全部、偽ニュースだ。全部、偽ニュースだ」

    大統領が気に入らない報道を「偽ニュース」と呼ぶことは、民主主義の根幹である言論の自由を脅かすことにならないのか。

    トランプ大統領は「私は何が良くて、悪いかを知っている」として、「いいかい、正直なプレスであってほしいと望んでいるんだ」と述べた。

    「大衆はもう君たちを信じていない。おそらく私の存在と関係あるのだろう。わからないが。人々は君たちを信じていない」

    報道機関に対する非難を続けた。

    「もし君たちが率直で、事実の通りに報じていたら(中略)私は君たちの世界で一番のファンだっただろう。私自身についての悪い記事も含めてだ」

    「だが、ほら、例えばCNN、後から後から悪い記事だ」

    1時間以上、記者からの質問を受け続けたトランプ大統領。激しいやり取りが続く場面もあったが、「楽しんでいる」と主張した。

    「明日には『トランプは記者団にわめく』というんだろう。私はわめいてはいない。君たちに話しているだけだ。ほら、君たちは誠意の感じられない人間だ。だが、私はわめいてはいない。これが大好きだ。いま楽しい一時を過ごしている」

    会見での主なやり取りは以下の通り。全文はこちら(英語)


    質問: マイク・フリン大統領補佐官を解任したのですか?

    マイク・フリン氏は、立派な人物だ。私が辞任を求めた。彼は慎んで辞任を受け入れた。彼は、今日私たちと一緒にいるペンス副大統領にも情報を提供した人物だ。情報提供の方法が満足できるものではなかった。ペンス氏はそんなことをやる必要はなかったんだ。間違ったことなんだから。彼が見た情報に関してだ。誤っていたのは、この部屋にいるあなたたちも含めて、外部の人間に情報が提供されたことだ。機密情報が違法に伝わった。それが、本当の問題だ。

    ロシアについて、君たちは好きなことを話すがいい。全部が偽ニュースだが。選挙で負けた民主党のために、でっちあげられたことだ。報道機関はまんまとそれにはまっている。

    実は、このことに関わったとされる複数の人間に会ったが、彼らは何も知らなかった。彼らがロシアにいたことはない。ロシアに電話をかけたことは一度もない。電話をもらったことも一度もない。これは全部、偽ニュースだ。全部、偽ニュースだ。

    質問大統領、今日、「ロナルド・レーガン元大統領以来最多となる選挙人を獲得した」とおっしゃいました。実際には、オバマ前大統領は365人、ジョージ・ブッシュ元大統領は426人でした。(追記:トランプ大統領は306人)。あなたが誤った情報を提供しているのに、アメリカ国民はなぜあなたを信頼すべきなのでしょうか?

    そういった情報を報告された。そのような情報を見たこともある。だが、あれは、かなり重大な勝利だった。

    (この後、トランプ大統領は記者に「そう思わないかい?」と尋ねた。記者は「あなたが大統領です」と答えた)

    質問: トランプ大統領、説明をお願いします。選挙期間中、あなたの陣営の誰かが、ロシア政府もしくはロシアの諜報機関と連絡を取っていましたか?もしそうならば、どんな内容の会話でしたか?

    記事で言及された人物、テレビに出演して、ロシアと話したことはないと言っている人もいた。彼らは本当に関与していない。本当に。彼らは、あまり重要じゃないってことだよ。彼ら、いや、私は話していない。

    一人……彼とは話したこともないな。会ったこともない。彼は、とても短い期間、委員会の下級メンバーだったと言っている。私は一度も会ったことはないんだ。例えば、私がある部屋に入って、彼がそこに座っていたことがあったかもしれない。だが、私は彼と会ったことはないんだ。話したことはない。ジョークとでも思ったんだろう。

    他の人物も、ロシアと話したこともないし、電話も受けていないと言っている。携帯電話の履歴を見ればいいじゃないか。いろんな国で代理人を務めている別の人物もいる。しかしその彼もロシアとは関係がない。他の国と関わりがあったのは知っていた。それが彼の仕事だからだよ。みんな知っているよ。

    それがマナフォート氏なんだよ。ところで、彼は立派な男だ。立派な男なんだ。だが、彼はウクライナ、ウクライナ政府かなんかと関与していたと思う。だが、みんな、知ってたんだよ。全員が知っていたんだよ。

    彼はロシアとは関係ないし、今まで関係を持ったこともないと言ったんだ。説得力のある言い方で言ったんだよ。私は、彼の宣言を見たんだ。とても力強く言ったんだよ。ほとんどの新聞はこれを書かない。彼らの記事にとって、良くないからだよ。

    だから、指摘されている3人全員が、否定した。

    私自身のことを言うならば、ロシアに何の借りもない。負債もないし、取引もない。プーチン大統領は電話をくれて、とても丁寧に選挙の勝利を祝福してくれた。あの素晴らしい就任式のときにも、とても丁寧に電話をくれた。ロシアは偽ニュースだ。ロシア。メディアが作った偽ニュースだ。

    質問: 重要なことを確認させてください。あなたの陣営が選挙中、ロシアに接触したことはないと断言できますか? 情報漏洩についてですが、これは偽ニュースですか、それとも本当に情報が漏洩したのですか?

    ああ、情報漏洩は本当だ。情報漏洩に関しては、完全に本物だ。ニュースは偽物だ。たくさんのニュースが偽物だから。

    悪い記事も気にしない。誰よりもうまく、悪い記事を扱える。それが真実を伝えているならば。今後、私が何か誤ちを犯せば、あなたたちはひどく書くだろう。それはいいんだ。だが、それが偽物のときはダメだ。CNNを見ていた。怒りと憎悪。憎悪しかなかった。もう、二度と見ない。

    質問: 渡航規制に関してですが、円滑な政府運営を示す良い例だと思いますか? 何か失敗はありましたか?


    渡航規制に関して、話そう。渡航規制は円滑な滑り出しだったが、ダメな裁判所があった。ひどい判断だった。裁判は覆された、またも、私が違っているかもしれないが、8割に及ぶ。たくさんだ。

    ひどい判決だった。その決定に従う。来週のうちに、新しい大統領令を発する。だが、ひどい判決だった。それが、渡航規制における唯一の誤りだ。

    質問ロシアとの関係について、「イエス」か「ノー」で答えてください。あなたの陣営の誰かが選挙中にロシアに連絡していたと認識していましたか?

    ノー。私の知る限りではいない。

    ロシアは、策略。私はロシアとは何の関係もない。ロシアには何年も電話していない。ロシアにいる人たちと話したこともない。話さないという意味ではないが。誰も話す人がいないんだよ。

    プーチンとは2回話した。選挙に関して電話をくれた。もうこれは教えただろう。それで数日前の就任式でも電話をくれたんだ。

    よい会話ができたよ。特に2回目は。結構長く続いた。これも機密情報なので誰かが手に入れるかもしれないな。もしかしたら、もう内容を知っている人がこの部屋にいるかもしれない。とてもよい会話ができた。

    ロシアとは何の関係もない。私の知るかぎりでは、そういった事業関係者もいない。


    この記事は英語から翻訳・編集しました。