なぜトランプ氏の息子はロシアにつながる弁護士に接触したのか。そしてその言い訳は。

    「今思えば、もっと違うやり方が」

    米トランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏。大統領選挙中の去年6月、ロシア政府と繋がりのある弁護士から、民主党候補のヒラリー・クリントン氏に不利な情報があると話を持ちかけられ「本当なら素晴らしい」と応じていたと、ニューヨーク・タイムズが報じた

    トランプ・ジュニア氏はその後、ロシア人弁護士との面会の前にやりとりしたメールの全文をTwitterで公開。そして出演したテレビインタビューでは、「今思えば、もっと違うやり方があったかもしれないと思う」「私にとっては対立候補調査が目的だった」と無邪気に語った。

    連邦捜査局(FBI)と連邦議会は、ロシアが昨年の米大統領選に介入した疑惑について調べを続けている。

    トランプ・ジュニア氏は、ロシア人弁護士による情報提供をロシア政府によるトランプ候補への支援の一環と認識した上で、歓迎していたことになる。

    トランプ・ジュニア氏がTwitterで公開した一連のメールには、クリントン氏に打撃を与えられる公式文書や情報が含まれていると、仲介者が記している

    トランプ・ジュニア氏、現・大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏、選挙対策本部長を務めていたポール・マナフォート氏は、トランプタワーでロシア人弁護士と会った。しかし、有益な情報は得られなかったという。

    メールとともに公開された文書によると、「彼らが提供できると言った情報を、私は対立候補であるヒラリー・クリントン氏の調査に役立つものだと考えていた」とトランプ・ジュニア氏は話っている。

    大統領選中、マルコ・ルビオ陣営の顧問を務めたアレックス・コナント氏はこう話す。「もし私の候補に外国政府のエージェントが、秘密裏に援助を提供するといってきたとしたら、すぐにFBIに言う」

    別の共和党のストラテジストは「対立候補調査のためだった、というトランプ・ジュニア話は信じられない」と語る。

    一般的に、政治的キャンペーンでは、中心にあまり近くないスタッフに、ライバルに不利な情報を探る役割を担わせる。資金力のある候補の陣営はフルタイムのリサーチャーを雇うこともある。候補者から独立した政治行動委員会(PAC)などの政治資金団体が、このような汚れ仕事を担う場合もある。

    しかし、トランプ大統領のそばには、彼の子供達と一部顧問だけしかいなかった。汚れ仕事をする要員がいなかったのだ。

    トランプ陣営の内情に詳しい情報源がBuzzFeed Newsに語ったところによると、陣営には最低限のスタッフしかおらず、共和党大会以前には調査研究部門は存在しなかった。注意が必要なデリケートな情報の取り扱いについて、トランプ・ジュニア氏に、助言ができる人は誰もいなかった。

    トランプ候補の選挙キャンペーンの初期には、ポール・マナフォート氏を含む陣営の中心に近い人物が今回のような情報を追いかける役割を担っていたと、トランプ陣営の内情を知る匿名の情報源は、BuzzFeed Newsに語った。

    トランプ氏が共和党の指名候補になった後、共和党全国委員会(RNC)は、本格的な調査サービスを提供するようになった。これによって、陣営の情報収集や調査の有り様はかなり変化したという。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。