トランプ大統領の元アドバイザーがロシアのスパイと接触

    カーター・ペイジ氏は2013年、ニューヨークのロシアのスパイと接触していたことを認めた。

    トランプ氏の大統領選アドバイザーを務めていたアメリカ人経営者が2013年にニューヨークでロシアのスパイと接触していた。BuzzFeed Newsの取材で分かった。米大統領選へのロシアの干渉工作はすでに明らかになっているが、接点を鮮明にした形だ。一方、この経営者は「私が話したことはどんな法律を破るものではない」と主張している。

    この経営者はカーター・ペイジ氏。エネルギーコンサルタントだ。かつて投資銀行メリルリンチの銀行員としてモスクワで勤務し、今はコンサル会社「グローバル・エネルギー・キャピタル」(ニューヨーク)を経営している。同社はロシアや中央アジアの石油ガス事業を専門としている。

    トランプ大統領は昨年3月、ワシントンポスト紙とのインタビューで、外交政策チームに選ぶ候補として、ペイジ氏を挙げている。

    だが、昨年9月、米政府がペイジ氏とロシア側のつながりを調べていると報道され、陣営は距離をおいた。スパイサー大統領報道官は先月の記者会見で、ペイジ氏に対して昨年選挙陣営に関わらないように通告したと明らかにしている。

    このペイジ氏に接触していたのは、ロシアのスパイ、ビクトル・ポドブニー氏だ。

    訴追された3人

    ポドブニー氏は2015年1月、米連邦捜査局(FBI)に逮捕されたロシア人スパイ3人の1人。

    外国の情報機関員であることを隠して情報収集活動をしていた疑いで逮捕されたエフゲニー・ブリヤコフ受刑者を支援した容疑だった。

    ブリヤコフ受刑者はニューヨークで、ロシア開発対外経済銀行(VEB)の銀行員として勤務しながらロシア対外情報局(SVR)のためにスパイ活動を行っていた。ロシア制裁やエネルギー政策に関する情報を集めていた。

    ブリヤコフ受刑者は懲役2年6ヶ月の有罪判決を受け、現在、オハイオ州の連邦刑務所に服役中。今月8日に釈放され、モスクワに戻ることになっている。

    ポドブニー氏は2012年12月〜2013年9月、ロシアの国連代表部に勤務していた。2010年11月〜2014年11月にニューヨークで通商代表を務めていたイーゴリ・スポリシェフ氏とともに、ブリヤコフ受刑者のスパイ活動を助けていた罪で訴追された。

    ただ、ポドブニー氏とスポリシェフ氏は外交官の不逮捕特権が適用されて米国を離れていた。

    「男1」

    米政府の訴状によると、ポドブニー氏とスポリシェフ氏は「男1」という人物を活動に勧誘しようとしていた。

    この「男1」がペイジ氏だ。

    ペイジ氏は4月3日、BuzzFeed Newsの取材に対して、これを認めた。ポドブニー氏と連絡を取り合っていたが、機密情報は扱っていないと主張した。

    訴状によると、二人は2013年1月、ニューヨークのエネルギー関連の会議で会った。同年6月まで、直接会ったり、電子メールを送ったりし、ペイジ氏がポドブニー氏に「エネルギービジネスに関する書類を渡した」という。

    訴状には、2013年6月、FBI捜査官2人がペイジ氏から事情を聞いたとも書かれている。

    違法性を否定

    BuzzFeed Newsはペイジ氏に対して、ロシアのスパイと会ったことがあるか尋ねた。ペイジ氏は「Telegram Messenger」でこう返信した。

    「『一度もない』と言うときは非常に慎重であるようにしている。ただ、たとえ、そのカテゴリにー入るかもしれない誰かとすれ違いざまに短く挨拶するなど、気づかずに『コンタクト』を取っていたとしても、その人物にしても、他の誰に対しても、私が話したことはどんな法律を破るものではない」

    調査文書

    BuzzFeed Newsが1月に報じた、英国情報局秘密情報部(MI-6)の元部員による調査文書では、ロシア当局者が米国内でペイジ氏を含む特定の人物との関係を築こうとしていたと指摘している。

    ペイジ氏は、アメリカ大統領選に対するロシアの干渉工作への関わりを否定した。「あの怪しい調査文書で、誤って非難された人物のうちの誰かと会うようなことも含め、私は何も間違ったことはしていない」

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    この記事は英語から編集・翻訳しました。