サリンで苦しむ赤ちゃんたち 子どもが命を落とす戦闘の悲惨さ

    ※この記事には遺体の写真が含まれています。

    シリアアメリカ医療団体(SAMS)によると、4月4日(現地時間)、シリア北部イドリブ県で化学兵器を使ったとみられる空爆があり、少なくとも子ども11人を含む67人が死亡した。負傷者も数百人に上る。今年シリアで発生した化学兵器の使用が疑われる被害で最悪の事態となっている。(※閲覧注意:この記事には遺体の写真が含まれています)

    空爆があったのは、イドリブ県南部ハンシャイフン。反体制派が支配している。アメリカ当局者はアサド政権軍による攻撃だと指摘している。化学兵器の使用は国際条約で禁止されているが、戦闘が続くシリアでは頻発している。ワシントンポストによると、2013年にはダマスカス郊外で、化学兵器による攻撃により1400人が死亡した。

    現地で治療を続ける医師らによると、攻撃を受けた人は失神したり、吐いたりしていたという。口から泡を吹いている人もおり、化学兵器に特有の症状だという。

    ハンシャイフンから20キロほど離れたマラ・アル・ヌマン病院で治療に当たるフィラス・アル・ジャンディ医師はBuzzFeed Newsに「みなショックを受け、呆然としている」と話した。病院は負傷者であふれかえり、医療機器が足りず、病院内に運びきれない患者もいるという。

    「病院の廊下、外の地面、スペースがあればどこででも患者を治療している」

    ハンシャイフンに入ったシリア人のハディ・アル・アブドラ記者によると、4日朝、戦闘機から4回爆弾が落とされたという。「四つ目が化学兵器だった。それでこの悲惨な状況になったんだ」

    ジャンディ医師によると、化学兵器とみられる攻撃の後、戦闘機が、シリア民間防衛隊(通称ホワイトヘルメット)の本部と、アル・ラーマ病院を攻撃したという。

    本部が爆撃されたとき、アブドラ記者はホワイトヘルメットのボランティアを取材していた。「幸い地下のようなところにいたので、我々は負傷しなかったが、本部は完全に機能しなくなった」。1時間半にわたり、逃げようとする人たちを狙って、攻撃は8回繰り返されたという。

    ホワイトヘルメットの責任者もBuzzFeed Newsの取材に、本部にけが人を受け入れている最中、少なくとも7回の攻撃を受けたと話した。


    化学兵器禁止機関(OPCW)は「誰によるものでも、どの場所であろうとも、いかなる状況でも、化学兵器の使用を強く非難する」と表明。国連のシリア調査委は、化学兵器の使用と医療機関への故意の攻撃は「戦争犯罪と深刻な人権法違反になるだろう」と指摘した。

    アサド政権軍はシリア国営通信を通じ「いかなる時間、場所においても化学兵器は使っていない」と関与を否定した。

    現地のアブドラ記者はこう話している。

    「起きたことを描写するのはとても困難だ。ほぼ、喪失とカオス状態だ。喪失感でいっぱいだ」

    この記事は英語から編集・翻訳しました。