Appleがチラ見せ......新しいMac Proのコンセプトとは

    「これ以上のイノベーションは無理だぜ!」と言ったのは2013年。

    2013年から刷新されていない Apple「Mac Pro」。Appleはこのほど、限られたメディアの記者を相手に、後継モデルを開発中であることを明らかにした。

    「Mac Proについてゼロから考え直している」。ワールドワイドマーケティング担当のフィリップ・シラー上級副社長は記者団との懇談会で明かした。「Mac Proはモジュラーシステムであるので、ディスプレイについても考えている。現在、それに懸命に取り組んでいるチームがある」

    Appleがハイエンド・デスクトップに興味を失ったのではないかと思っていたユーザーには朗報かもしれない。ただ、シラー上級副社長はこうも付け加えた。「今年中に商品が出ることはない」

    このチームは、時間をかけて、幅広いパフォーマンスを発揮できるシステムをデザインしようとしている。最新技術に簡単かつ効率的にアップグレードできるようにする。Mac Proの愛用者が求めているものだ。

    この「アップグレード可能性」が鍵だ。Appleがデザインの斬新さのために、意図せず犠牲にしたものだ。シラー上級副社長は2013年、Mac Proを発表したとき「これ以上のイノベーションは無理だぜ!」と言って、会場をわかせた。だが、図らずもこの言葉は4年たった今、文字通りの意味を帯びてきてしまった。デザイン自体がアップグレードできる選択肢を狭めているのだ。

    「自分たち自身をちょっと追い込むようにデザインしてしまった」。ソフトウェア・エンジニアリング担当のクレイグ・フェデリギ上級副社長は打ち明ける。円筒形の筐体の中、三角形のヒートシンクの周りに配置したコンピューター内部を指している。

    「大胆で違うことをやってみたかった。そのとき完全に理解していなかったのは、将来的に丸型のハコモノから出られないという特定のビジョンにデザインを仕立ててしまっていたということだった」

    ハードウェア・エンジニアリング担当のジョン・ターナス副社長は「目的は十分に果たした」ものの、「今になってみれば必要だと分かる、柔軟性がない」と話す。

    懇親会があったのはハードウェアのプロトタイプを開発するラボ「Machine Shop」だった。Appleが懇親会という形式で、記者団に開発状況を知らせるのは極めて珍しい。Appleは製品デザインについて「見せられるまで、人は自分が何を欲しいのか知らない」というアプローチを取ってきた。

    「Machine Shop」は、Macの歴史、そしてその未来で溢れていた。歴代のMacやデジカメQuickTakeのプロトタイプがガラスケースに飾られ、精密切削加工コンピューターが置かれていた。(ただ、多くは黒い布で隠されていたが)

    次はどんなMacProが登場するのか。シラー上席副社長はこう話した。

    「大胆なものをつくり、それは素晴らしいと思った...だが後で素晴らしい点もあるが、そうでない点もあったと分かった。だから、別の道を進まなければならないと気づいた...次の答えを探している」

    この記事は英語から編集・翻訳しました。