北朝鮮を牽制 アメリカが大陸間弾道ミサイルを撃ち落とす初実験で成功した

    「非常に現実的な脅威に対して、抑止力の信頼性を証明できた」

    米国防総省は5月30日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を撃ち落とす実験に成功したと発表した。ICBMを想定した迎撃実験は初めてで、核弾頭搭載のミサイル開発を進める北朝鮮を牽制する狙いがある。

    マーシャル諸島のクェゼリン環礁から打ち上げられた模擬のICBMに対し、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から迎撃ミサイルを発射して、命中させた。

    米国がICBMに対して地上配備型迎撃ミサイル(GBI)をテストしたのは初めて。

    「このシステムは国土防衛のために欠かせない。非常に現実的な脅威に対して、抑止力の信頼性を証明できた」。国防総省ミサイル防衛局(MDA)の局長で海軍中将のジム・シリング氏は声明を出した。

    アメリカ本土を守るGBIの迎撃実験は3年ぶり18回目。これまで迎撃に8回失敗していたが、今回のテストで成功率は50%に上がった。

    ミサイル防衛局(MDA)は今回得られたデータをもとに、システム性能を引き続き評価していくという。

    北朝鮮の脅威

    北朝鮮はまだICBM能力を持っていない。ただ、ここ10年ほどで、ミサイルの射程を延ばしてきた。核弾頭を運べる潜水艦ミサイルを開発していると主張している。5月29日には弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したと推定されている。

    北朝鮮の脅威に備えるため、米国はミサイル防衛システムを強化している。迎撃ミサイルをカリフォルニア州やアラスカ州に増設、年末までに現在の36から44に増える。ただ、システムのテストは終わっていない。

    物理学者で「憂慮する科学者同盟(UCS)」のローラ・グレゴ氏はBuzzFeed Newsの取材に対し「北朝鮮に対して備えなければならないという圧力は強まっているが、完璧ではない迎撃ミサイルを強化することがその答えなのかはわからない」と指摘している。

    この記事は英語から編集しました。